【プレスリリース】切れにくい炭素–ハロゲン結合を分子の「会合」で選択的に変換

本学 薬品製造化学研究室の田湯正法講師、齋藤望教授らの研究グループは「触媒と触媒活性化剤」および「活性化された触媒と基質分子」のそれぞれの会合体を順次形成させ、逐次的に光を吸収させて反応を進行させるという新しい概念に基づいた「会合型多光子触媒反応」を開発しました。
光のエネルギーを利用したさまざまな化学反応が開発されていますが、芳香族炭素–ハロゲン結合は非常に強く、その切断には複数の光子注1)のエネルギーが必要です。しかし、そのような高エネルギー状態の触媒は周囲の分子と無差別に反応するため、副反応を起こしやすいという欠点がありました。
本研究では、電子を与える分子と受け取る分子が一時的に集まって形成される会合体「EDA錯体」注2)を利用しました。触媒に二段階で光を吸収させることで高エネルギー状態の触媒を生じさせますが、EDA錯体という「箱」の中で事前に触媒と基質を近づけておくことで、目的の芳香族炭素–ハロゲン結合の切断反応を選択的に進行させることができました。
この反応を用いて、医薬品分子がもつ芳香族炭素–ハロゲン結合をさまざまな官能基へ変換できました。この成果は既存医薬品の誘導体合成を効率化できるため、創薬研究を加速させることが期待されます。

■用語解説
注1)光子:光を構成する最小単位のエネルギーの粒子。分子に吸収されると、そのエネルギーを分子へ受け渡し、化学反応や発光を引き起こします。
注2)EDA錯体(電子ドナー–アクセプター錯体):電子を与えやすい分子と受け取りやすい分子が、共有結合を作らずに弱く会合した集合体。会合体が光を吸収すると、内部で電子移動が起こることがあります。

※本成果は、国際学術誌『Nature Communications』にて、2026年7月22日に公開されました。
DOI: 10.1038/s41467-026-75858-0

【プレスリリース】切れにくい炭素–ハロゲン結合を分子の「会合」で選択的に変換

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