大学概要

SDGsへの様々な取り組み

新たなバイオマーカーの探索と、その分析法の開発により疾病の早期発見・診断・治療介入の促進に貢献する

小笠原 裕樹 教授  分析化学研究室

 ストレス社会において健康的な生活を確保していくためには、予防と治療が重要であると言えますが、普段何気なく受けている職場等での健康診断は、SDGs目標3への取り組みの1つです。非感染症疾患を予防するには個人が行動を変えるよう意識するだけでなく、あらゆる機関・組織が協力してリスク軽減に努め、疾患を早期に発見して適切な治療を行うことが必要です。

 薬学における基礎研究のキーワードの1つが、「臨床への橋渡し」であり、分析化学においては、疾病の早期発見と薬物等による治療効果のモニタリングのために必要とされる診断マーカーの探索と、その分析法の開発が望まれています。当研究室では、様々なストレス性疾患の診断を「分子レベル」で明確にすることを目標に、バイオマーカー(下図)の研究に取り組んできました。臨床の場において、どのような疾患のマーカーが求められているのか、そのニーズを探すところから出発し、病院や医療施設を有する研究機関との共同研究を展開しています。その結果として、酸化ストレス性の呼吸器疾患である睡眠時無呼吸症候群やカルボニルストレス性統合失調症*に注目し、分析技術を駆使して新たな診断マーカー候補を見出すことができました。

 今後も、実臨床の場との橋渡しを繰り返すことで、国民の健康維持に貢献できる成果を発信していくことを目指しています。
*生体内の蛋白質などが反応性に富んだ糖代謝産物(カルボニル化合物)と反応して産生される最終糖化産物が蓄積した状態にある統合失調症の一群