教育・研究

薬化学

創薬においてその起点である医薬品の新たなシーズを天然物に求め、微生物や海洋生物の二次代謝産物の中で強力な生物活性を有するアルカロイドの探索、化学変換、および全合成研究を展開しています。特に創薬シードの探索研究はタイ、フィリピンなど、アジア諸国との国際共同研究です。

研究室メンバー

教授 齋藤 直樹
講師 横屋 正志
助手 木村 真也

研究テーマ1

含窒素キノン系生物活性天然物の全合成研究

研究概要1

約30年前、京都山科の土壌から採集した放線菌(Streptomyces lavendulae No. 314)の培養液から極めて強い抗腫瘍活性を示す一群のイソキノリンキノン抗生物質を発見し、サフラマイシンと命名しました。(千葉大・医・新井正教授と共同研究)本系天然物の基本骨格は斬新ですが、天然物として極微量にしか得られません。私たちはサフラマイシン Bをはじめとするいくつかの天然物の全合成に成功しました。一方、青色海綿が生産するレニエラマイシン海洋天然物はサフラマイシンと酷似した構造を有しています。そこで、これまでに蓄積してきた知的財産を生かしつつレニエラマイシン類の全合成研究を展開しています。

研究テーマ2

強力な抗腫瘍活性を有する海洋天然物の探索と活性発現機構の解明

研究概要2

エクチナサイジン743(Et 743)は、約40年前、米国イリノイ大学のRinehart教授により、カリブ海に生息する群体ホヤEcteinascidia turbinataのメタノール抽出エキスから極微量得られました。その後の精力的な創薬研究を経て、Pharma Mar社(スペイン)によりヨンデリス(トラベクテジン)として、最近、欧州において上市された話題の海洋天然物です。本品は特に軟部肉腫・粘膜型脂肪肉腫に有効であり、乳癌、ホルモン耐性前立腺癌、肺癌に対する臨床試験も展開されています。私たちは、15年前からタイ国チュラロンコーン大学薬学部・カニット博士(Dr. Khanit Suwanborirux)の協力を得て、同国に生息する海洋生物が生産する二次代謝物として強力な抗腫瘍活性を示すイソキノリン系天然物を発見しました(詳細は国際交流を参照してください)。 まず、プーケット島沿岸に生息する群体ホヤ(Ecteinascidia thurstoni)はEt類を生産することを明らかにしました。次に、バンコク東側に隣接するチョンブリ地方の沖合に位置するシーシャン島沿岸に生息する青色海綿Xestspongia sp.がレニエラマイシン類を生産することを明らかにしました。また、青色海綿を食料として生息するウミウシJorunna funebrisからレニエラマイシン誘導体の単離に成功しました。なお、いずれも抽出に先駆け、KCN前処理により不安定な部分を化学的に安定化することによりグラムスケールで入手することができました。そこで、マイナー成分の構造解析と化学変換による様々な誘導体の合成、さらにはヒト実験腫瘍細胞に対する細胞毒性試験による構造と活性発現の関係を解析し、活性発現に必要な構造単位の解明をめざしています。 本研究はチュラロンコーン大学薬学部(タイ)との共同研究としてスタートしましたが、最近、ランプーン大学理学部(インドネシア)とフィリピン大学海洋資源センターが新たに加わりました。

研究テーマ3

天然物を創薬情報源とする低分子医薬品のデザインと合成

研究概要3

抗腫瘍活性を示すイソキノリン系天然物の様々な部分構造を化学合成し、生物活性試験結果から、新規制癌剤の開発候補化合物の選定と大量合成手段の確立をめざします。

研究テーマ4

抗酸化作用を有する天然物ライブラリーの構築と新しい脳機能障害改善薬の創製

研究概要4

キノン型天然物が、本来、還元体であるヒドロキノン型で天然に存在している可能性に興味を持っています。後者は還元性を有していることから、ラジカル消去剤としての利用が期待できます。一方、タイやインドに生息する薬用資源植物には抗酸化作用を示すクマリン類の存在が知られています。そこで、様々な天然物について、ラジカル消去活性を指標としてスクリーニングを行い、脳内の酸化ストレスの防御による痴呆症改善薬の創製をめざしています。このプロジェクトはコンケーン大学薬学部(タイ)と全インド医科学研究所との国際共同研究です。

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