明薬資料館は、明治薬科大学創学80周年記念事業の一環として、創立者恩田重信(剛堂)先生の偉業をしのび、かつ本学の歴史を記念保存し、併せて薬学資料を収集展示して薬学教育に貢献する目的で、旧世田谷キャンパスに設立されました(昭和57年11月23日竣工)。
当館は清瀬へのキャンパス統合に伴い新設されて、展示内容は生薬学および生物研究室で代々収集されて来た多数の生薬標本を追加して、一層充実しました。収蔵資料の内容は、恩田先生関連資料をはじめ、江戸時代から続いた薬舗に伝わる製薬道具などの薬業資料を集めた「大原薬業資料」および貴重な生薬標本と薬学関連資料等で、現在その一部を展示して一般に公開しています。
館内には、常設展示室と研修室が設けられ、エントランスでは所蔵ビデオの視聴が可能です。研修室には各種のハーブ見本を揃えております。また、この武蔵野の当地へ移転したのを機会に、「武蔵野の薬用植物」と称して、ヤブエンゴサク、サンショウ、イカリソウなど10種の薬草、薬木を簡単な解説を加えてパネルで紹介しています。
生薬資料としては、カンゾウ(甘草)やダイオウ(大黄)をはじめ種々のものを、また葛根湯などの漢方処方を構成する生薬もわかりやすく展示しています。 ジャコウ(麝香)やイッカク(一角)、サイカク(犀角)、ロクジョウ(鹿茸)の動物生薬など、ワシントン条約により現在では入手できないものも多く展示されています。最近、麝香の基原動物であるジャコウジカも展示しました。成分や用途は展示プレートをご参照頂く形になっております。生薬資料のなかには、国立科学博物館主催の「化け物の文化誌展」(2006年11月)および「医は仁術」(2014年3~6月)で展示した「ミイラ」のほか「センザンコウ」、「カイバ」、「ゴウカイ」など貴重な生薬もあります。 薬学資料の中には「ヒポクラテス全集」やディオスコリデスの「マテリア・メディカ」(ウィーン写本)など世界の薬学、医学の古典や、日本医学書の古典「解体新書」や「蘭学事始め」の復刻版なども展示しております。