大学概要

SDGsへの様々な取り組み

差別のない民主的な"監視社会"を模索する

高野 麻子 准教授 社会学研究室

 現代社会を言い表す社会学の用語に「監視社会」があります。ここでの「監視」とは、デジタル技術を通じて収集されたデータを何らかの目的で、調査・分析することを意味しています。現在、スマートフォンの普及により、多くの人が常にオンラインの世界と繋がるなかで、SNSへの投稿・閲覧、ネットショッピングの履歴、GPSによる位置情報などの「ビッグデータ」と呼ばれる膨大なデータが、私たちの日常生活のあらゆる場面で収集・利用されています。ビッグデータはこれまでおもに企業のマーケティング、感染症の流行予測、テロや犯罪の防止といった予測や予防に使用されてきました。しかし、近年では個人の考えや行動を操作・修正するために使用できることが明らかになり、世界的に問題となっています。

 さらにデータを分析・解析するアルゴリズム(計算方法)についても問題が指摘されています。複数のデータを組み合わせて解析が行われる際、出身国、人種、ジェンダー、宗教、病気といった情報が、どの程度その結果に影響しているのかが不透明であるため、差別の構造が不可視化されてしまうからです。今こそ、監視社会において公平性をどう確保するのかが問われています。そして、この問題は、社会学だけで解決できるものではありません。社会学研究室では、理系と文系の垣根を越えて、あらゆる分野の文献・資料を用いながら、その糸口を探っています。