職業倫理、応用倫理、正義理論
川北 晃司 教授 倫理学研究室
2023/02/28
本学に赴任する直前の10年間は、東京都八王子市にある東京高専(独立行政法人 国立高等専門学校機構 東京工業高等専門学校)で、専門技術者に求められる職業倫理(技術者倫理)に関する教育・研究に携わっていました。2012年4月に本学着任後は、「医療倫理」、とりわけ薬剤師や研究医や医薬情報担当者に関する倫理につき、グローバルな視点等から、文献調査・考察を進め、本学発行の『明治薬科大学研究紀要[人文科学・社会科学]』誌に寄稿してきました(下表参照)。医療関連諸機関に対して、倫理規程の改善提案等も行っています。
技術者倫理や医療倫理は、「応用倫理」とも呼ばれ、医療倫理には、医療の担い手と患者さんとの間を調整するための倫理的ルールがあります。そうしたルール自身、「自律尊重」、「無危害」、「善行」、「正義」といった<原則>に基づいているでしょう。医療倫理のルールでは、患者さんのプライバシーや、インフォームド・コンセント(いわゆる「説明と同意」)が重要になります。なぜなら、患者さんの「自律尊重」のためには、それらが必要だからです。しかし、<原則>同士の間でも対立が生じることは珍しくありません。どうすればよいでしょうか。そもそもなぜ、人の生命は大切なのでしょうか。そうした問いについても哲学者等による見解を参考に、医療倫理の授業では学生と共に、考察しています。