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SDGsへの様々な取り組み

触媒の力を駆使して"くすり"を作るための新しい方法を創り出す!

齋藤 望 教授  薬品製造化学研究室

 私たちが風邪を引いたり、お腹が痛くなったりしたときにまず口にするくすりの大部分は炭素原子が連なって作られる「有機化合物」からできています。したがって、その炭素原子を効率良く繋げられる方法(化学反応)が開発できれば、くすりの迅速な供給へと貢献つながることが期待されます。私たちの研究グループではそれを実現するために、遷移金属化合物を『触媒』として利用して、炭素原子を繋ぐ新しい化学反応の開発研究を進めています。

 遷移金属は一般に「重金属」とも呼ばれるので、ヒトや環境に悪影響を与える「悪者」というイメージがあるかもしれません。しかし、それらを適切に使うことによって、廃棄物が少なく環境に配慮した新しい方法を開発することができます。私たちは、一見害を与えるように思われる金属触媒が、環境の保全、人類の健康と福祉に大いに貢献できると確信し、日々研究を続けています。

私たちがこれまでに開発した、遷移金属触媒を用いた新しい化学反応の一例です。ごく単純な構造の出発原料から、複雑な構造をもつ有機化合物を効率的に合成することが出来ます。

遷移金属触媒は空気や水に不安定なものが多いので、特殊な装置を使って実験を行います。