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SDGsへの様々な取り組み

病気で変化するRNAに注目し、治療への道筋を見つけ出す

紀 嘉浩 教授  病態RNA制御学研究室

 私たちのからだはヒトゲノムの遺伝情報に基づいてつくられています。ヒトゲノムを構成するDNAの塩基配列には個人差があり、それが顔つきや体つき、体質などの差に繋がるだけでなく、病気の原因にもなります。ヒトゲノムの本体であるDNAの情報を写し取ってRNA(mRNA)が作られ、さらにその情報を元に作られたタンパク質がさまざまな役割を果たします。ヒトゲノムの個人差は、これらのいずれかの段階に影響すると考えられます(下図)。

 私たちは、このうちRNAに注目して、病気につながる異常を探し、病気を治すための方法を探しています。たとえば、たった一つの塩基配列の変化によって、RNAの構造が大きく変わり、正しいタンパク質を作れなくなることがあります。このような異常が病気の原因だと分かれば、どのように治療すれば良いかの原理が導き出せます。さらに、RNAの量や働きを人工的に制御することで、遺伝子や細胞の働きを変える技術の開発や応用も目指しています。特に神経難病と呼ばれる疾患を対象として、病気の異常を模した細胞を作り、治療に繋がる手段の開発につなげたいと考えています。

ヒトゲノムの個人差は遺伝子の働きに大小様々な影響をもたらす。その影響が多数積み重なることで、 外見や体質、病気の有無などの個人差に繋がる。