研究

研究室

循環薬理学

総合臨床薬学教育研究講座は、学部および大学院における臨床および関連分野の教育と研究の推進を目的として設置された。構成研究室は、循環薬理学(三田教授)、医療健康科学(高野(伊)教授)、臨床免疫学(松井教授)、臨床神経薬理学(野澤准教授)、医療製剤学(下川准教授)の5つである。各研究室が全講座的な連係をとり、免疫疾患・神経疾患・循環器疾患などの臨床上重要な疾病及び健康の維持を題材に、病態発生機構の解明・治療法の考案・薬の製剤化・食の安全確保などを通して、基礎研究から薬物治療に関する臨床研究まで広範囲にわたる医療薬学教育研究を推進し、特に社会人大学院生の教育・研究指導、および先進的な学内外の共同研究を展開していきたいと考えている。

循環薬理学研究室としては、循環器系疾患の成因・進展のメカニズムの解明や新しい治療薬開発のため、血管平滑筋の収縮調節機構を薬理学的、生化学的および分子生物学的手法を用いて探索している。

研究室メンバー

研究テーマ

血管平滑筋の収縮調節機構に関する研究

研究概要

高血圧や脳循環障害、喘息などの疾病は、平滑筋の異常収縮が重要な一因と考えられており、平滑筋の障害の成因・進展のメカニズムの解明や新しい治療薬の開発は極めて重要な課題である。そこで、正常動物や糖尿病および肺高血圧症などの病態動物を用いて、血管平滑筋収縮障害のメカニズムを解明し、その障害に関連する諸因子の病態的意義および治療薬や合併症予防への応用を目指す。

近年、血管平滑筋の収縮機構を調節するCa2+感受性亢進機構が見いだされ、受容体刺激時には三量体G蛋白質が活性化され、それに引き続くRhoA/Rhoキナーゼ(ROK)系を介したミオシンホスファターゼの抑制により収縮の増強が生じることが報告された。しかし、当研究室では受容体を介さない高K+による膜脱分極刺激においても、細胞外から流入するCa2+に依存してRhoA/ROK系が活性化され、収縮が発生することを見出し、新たなRhoA/ROK系活性化機構として世界に先駆けて報告した。さらに最近では、このCa2+依存性RhoA/ROK系の活性化には、Ca2+によって活性化されるチロシンキナーゼであるProline-rich tyrosine kinase 2(Pyk2)が関与していることを初めて明らかにした。

 また一方では、2型糖尿病の病態モデルラットの血管平滑筋を用いた研究において、種々の刺激薬による受容体を介した反応性が減弱していることを見出し、それはtransient receptor potential canonical(TRPC)チャネル発現の変化及びRhoA/ROK活性化の障害によって生じていることも初めて見出した。

 このように、血管平滑筋の細胞内情報伝達系を詳細に解析することによって、従来から用いられている受容体遮断薬やイオンチャネル阻害薬のような細胞表面の膜タンパク質に作用する既知の薬物とは異なり、受容体刺激以降の細胞内情報伝達機構に新たな作用点をもつ治療薬の創薬及び臨床応用に結びつくと考える。