薬物治療学
薬物の応答性には個人差があります。薬物の体内動態(薬物動態PK)および薬効自体の差(薬力学PD)の個人差によって、効き目や副作用に違いが現れます。PK/PDは病態、遺伝子、加齢、生活習慣、他薬との相互作用に影響を受けることが知られますが、評価が不十分であったり、未知のものも多いと考えられます。我々は、これらの要因を分子から臨床まで研究することを通じて、患者にあった薬物治療を提供できることをねらいとしています。取りうる手法は多岐に及び、可能性は無限大と言ってよいと思いますが、個々の研究者には広い視野に基づいて深い研究を行ってもらうことを期待しています。
1.in silico Research
薬物の構造上の特徴から活性・動態を予測する研究や、以下の2-4で得られたデータを用いたシミュレーションなどを行います。
2.Molecular Biology
疾病モデルとなる細胞や動物への薬物投与、あるいは遺伝子改変により、病態とその治療の関係を明らかにしていきます。
3.Translational Research
薬物の血中・尿中濃度、薬物代謝物の血中・尿中濃度、また、バイオマーカーについて測定系を構築し、実際に患者検体での測定を行うことで、薬物治療の適切さを評価できるようにします。
4.Clinical Research
臨床現場の情報、あるいは集積された文献情報やデータベースに基づいて、Clinical Questionを解決するための研究を行います。ここで得られた知見を元に、1-3の研究をさらに発展させます。