細胞のタンパク質合成装置の解明を通して、副作用の少ない新たな抗がん薬の開発に挑む
細胞内にはタンパク質合成のために働く小さな装置「リボソーム」が存在しています。DNAが生命の設計図であるのに対し、タンパク質は生命を構成する最も基本的な材料であり、リボソームは設計図に忠実にタンパク質を作り出す役割を担っています。リボソームの働きや組み立ての仕組みを明らかにする研究は、生命現象の根源を解明するものであり、人類の知的財産を作り出す重要な活動といえます。さらに、リボソームによるタンパク質の合成は、がん細胞の増殖機能と密接に関連しており、悪性度の高いがん組織ではリボソームの組み立てが異常に活性化していることが分かっています。がん細胞のリボソームの組み立てを特異的に遮断することができれば、タンパク質の供給を止めるだけでなく、p53というがん抑制因子の働きが活発となり、がんを撲滅する有用なアプローチを手にする可能性が拓かれます。私たちは、生命の根源に関わる重要な知識を世界の人々と共有するとともに、がんを克服するための新たなチャレンジに貢献していきたいと考えています。


