「薬物治療の価値は、その価格に見合うものなのか?」を考える -薬剤経済学-

お医者さんにかかった時の費用(医療費)は誰が払うのか考えたことはありますか?
日本では、誰でも、質の高い医療を、比較的安く受ける事が出来ます。これは、皆さんが加入している医療保険制度があるおかげです。しかし、治療に使う医薬品、それを扱う医療提供者、それに支払うお金といった医療資源は無限ではありません。薬剤経済学は、限りがある医療資源を効率的に使うために、薬物治療を提供するために必要なお金と薬物治療によって得られる健康効果を天秤にかけて、その費用対効果を客観的に評価する学問です。研究成果は、医療保険でカバーする医薬品等の価格設定、医療機関で採用する医薬品等の選択、患者中心の医療の実現などに役立てられています。たくさんの医薬品の中から患者治療に最も適切なものを賢く選んで使うことで、限られた医療資源の効率的利用を実現でき、平等な医療を提供している公的医療保険制度(国民皆保険制度)を持続可能なものにしていきます。
薬剤経済学は、薬物治療にかかる費用と薬物治療によって避けられる費用や得られる効果を天秤にかけて比べる方法です。

『薬を扱うなら知っておきたい!薬剤経済はじめの一歩』:羊土社より *「QALY」とは、健康な状態で生きることが出来る年数
