薬学研究科
概要
本学では1975年(昭和50年)に薬学研究科薬学専攻博士課程(前期)が、また1977年(昭和52年)には同博士課程(後期)の設置が文部省(当時)から認可され、これまでに博士課程(前期)修了者923名、博士課程(後期)修了者71名、論文博士(薬学)学位取得者136名を送り出しました。
さらに1996年(平成8年)、全国に先駆けて臨床薬学専攻が博士課程(前期:2年間)と博士課程(後期:3年間)として設けられました。これまでに博士課程(前期)修了者377名、博士課程(後期)修了者17名を送り出しました。 また、2003年(平成15年)に論文博士(臨床薬学)の制度を導入し、21名が学位を取得しました。
2006年4月、高度化する医療現場における実践的能力と技術を備えた優れた薬剤師の養成を目的として薬学教育6年制がスタートしました。これに伴い、すべての薬系大学は、学部において医療実務教育の充実や臨床研修の必修化などを含めて質の高い実践的な薬剤師の養成をめざしています。さらに、将来の薬学や生命科学の発展を担う、高度な研究能力を持つ指導者の育成は、科学技術社会を幅広く支える上で、薬学系大学院教育の重要な役割の一つであり、社会的責任の一端と認識しています。
本学では、これまでに築き上げてきた薬学研究・教育の伝統と成果を基軸として、薬学系学術研究のさらなる推進を図るため、2006年4月に薬学部4年制学科(生命創薬科学科、定員60名)を開設しました。さらに、大学院博士課程(前期・後期)において高等教育を充実させ、創薬研究・医薬品開発を担う質の高い多彩な研究者および製剤技術者の養成を目的として、大学院薬学研究科生命創薬科学専攻博士課程(前期)設置し、2010年4月、大学院の新たな専攻としてスタートしました。
さらに文部科学省への設置届出と承認を経て、2012年4月に生命創薬科学専攻博士課程(後期)を設置しました。 一方、6年制薬学科学部の完成とそれに伴う薬学科卒業生の受入れに向け、文部科学省への設置届出と承認を経て、2012年4月に薬学専攻博士課程を大学院薬学研究科に設置しました。新課程薬学専攻は、標準年限を4年とする博士課程です。
組織図

生命創薬科学専攻
生命創薬科学専攻博士課程(前期)では、科学技術と社会を幅広く支えるため、グローバルな視野に立ち精深な学識を授け、各専門分野における優れた研究能力と卓越した技能及びその基盤となる豊かな学識を養うことを目的とします。この目的を達成するため、はじめに薬学における研究の意義、目的、および位置づけと方向性を理解し、また薬学基礎・応用研究活動に携わるものとしての倫理観を涵養します。そして専攻する分野の特論と演習から基礎知識と精深な学識を学び、専攻以外の分野からも多様な知識を幅広く修得します。また、ゼミ形式で世界をリードする優れた論文を題材として、学生同士が切磋琢磨する環境の中、知的学識、語学力、問題解決能力、プレゼンテーション能力などを養います。
生命創薬科学専攻の学生は、所属研究室に応じて創薬化学コースまたは生命科学コースに分かれます。それぞれのコースには、次の分野が含まれます。
1) 創薬化学コース:薬品製造化学、薬化学、有機合成化学、薬品物理化学、機能分子化学、生薬学、分子製剤学
2) 生命科学コース:生体分子学、生化学、病態RNA制御学、生体機能分析学、分析化学、感染制御学、微生物学、薬理学、薬効学、薬物治療学、公衆衛生・疫学、臨床漢方、薬剤学、薬物動態学、医療分子解析学、薬剤情報解析学、病態生理学、環境衛生学、機能形態学、医薬品安全性学、がん個別化医療学、治療評価学、レギュラトリーサイエンス
生命創薬科学専攻博士課程(後期)では、卓越した学識並びに優れたリーダーシップと精巧な技能を備えた力量ある専門研究者、またはその他関連する様々な業務従事者として、国際的に広く通用する優れた人材の育成に必要な論理的思考能力と豊かな基礎的学識を養うことを目的としています。これら研究者の養成に加え、将来の高等教育を担う人材として、その自覚、意識の涵養と教育能力を培います。
将来研究者として自立するための基盤となる幅広い専門的知識と研究手法を、多彩な研究活動の場を通して修得するとともに、それらを総合的に活用する研究遂行能力や問題解決能力を育成します。また、学術論文作成・発表演習及び学術論文総説講演を通して、研究者に求められる英語による研究・論文の作成、論理性、表現力を身につけるとともに、アカデミックポジションを目指す学生は、学部・博士課程(前期)学生への教育的な指導を行うことで、大学教員にとって必要な教育能力を培います。
薬学専攻
薬学専攻は、主に社会で薬剤師が遭遇する広範な課題を研究分野とし、その成果を社会に還元し実践的に問題を解決することを研究領域の中心に据え、これらの課題研究を遂行できる薬剤師研究者(pharmacist scientist)の養成を主な目的とします。その研究分野は、総合科学である薬学の性格を踏まえて、医療・臨床薬学及びこれらの分野の研究に深い科学的基盤を提供する生命科学と衛生科学、さらに社会科学であるレギュラトリーサイエンスや薬剤疫学も包含するものとします。
また、広く社会に教育の門戸を開放し、専門薬剤師を目指す社会人薬剤師の研究と教育を支援し、行政及び医薬品企業で活躍する薬剤師などに高度な研究環境の提供と支援を行う高度専門職業人の教育プログラムを推進します。
将来に亘り薬科大学が社会の求める高度な専門職業人である薬剤師を育成できる体制を維持し続けるために、高い研究および教育能力を兼ね備えた大学教員の養成も重要な使命であり、薬学専攻の目的の一つとします。
大学院カリキュラム・ポリシー/ディプロマ・ポリシー
カリキュラム・ポリシー
生命創薬科学専攻 博士課程(前期)
博士課程(前期)ではディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、以下に記す方針でカリキュラムを編成し、修士論文作成のための指導を行います。
- 生命科学、創薬化学および医療科学の分野全体に関する基礎的な知識を修得するための講義科目の開講および自身の研究課題に関する専門的知識を習得するための研究指導の実施
- 最先端かつ高度な専門的知識と卓越した研究手法を学び、研究実践能力や問題解決能力を研鑽するための研究指導の実施
- 幅広い視野と豊かな学識に基づいた柔軟な思考能力および課題発掘能力を育成するための演習科目の開講
- 生命科学、創薬化学および医療科学分野の研究者・技術者に必要な倫理観、責任感および使命感を醸成するための講義科目の開講
生命創薬科学専攻 博士課程(後期)
博士課程(後期)ではディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、以下に記す方針でカリキュラムを編成し、博士論文作成のための指導を行います。
- 自立した研究者として展開可能な幅広い専門的知識と研究手法を修得するための機会提供と研究指導の実施
- 修得した知識と技能を効果的に活用できる研究遂行能力および問題解決能力を育成するための研究指導の実施
- プレゼンテーションおよび討論能力を育成し、語学力を強化するための機会提供と実践教育の実施
- 科学者としての倫理観、責任感および使命感を醸成するための研究指導および論文作成指導の実施
薬学専攻 博士課程〔4年制課程〕
博士課程〔4年制課程〕では、ディプロマ・ポリシーに掲げる到達目標を達成するために、以下に記す方針でカリキュラムを編成し、博士論文作成のための指導を行います。
- 専門的知識を修得し研究動向を理解するための講義および演習科目の開講
- 社会のニーズに対応できる高い研究能力と柔軟かつ論理的な思考力を修得するための演習科目の開講および研究指導の実施
- 国際的に通用するコミュニケーション力向上のための機会提供と実践教育の実施
- 研究倫理の理解および薬学研究者としての倫理観、責任感および使命感を徹底するための機会提供と実践教育の実施
- 次世代を牽引するために必要な指導力を育成するための機会提供と実践教育の実施
ディプロマ・ポリシー
生命創薬科学専攻 博士課程(前期)
博士課程(前期)の教育課程における講義ならびに課題研究の遂行を通じて、以下に記す知識・能力を身につけ、本課程に編成された授業科目について、所定の単位を取得し、かつ本課程の学位論文審査および最終試験に合格した学生に修士(薬科学)の学位を授与します。
- 生命科学、創薬化学および医療科学の分野全体に関する基礎的な知識と自身の研究課題に関する専門知識
- 専門分野に応じた研究実施能力や問題解決能力
- 柔軟な思考能力によって自ら新しい課題を見出す能力
- 科学者としての高い倫理観、責任感および使命感
生命創薬科学専攻 博士課程(後期)
博士課程(後期)の教育課程における演習科目ならびに課題研究の遂行を通じて、以下に記す専門知識と研究遂行能力を身につけ、本課程に編成された授業科目について、所定の単位を取得し、かつ新規性、再現性の高い独創的研究成果に基づく博士論文を提出し、その審査および最終試験に合格した学生に博士(薬科学)の学位を授与します。
なお、課程外の者が、新規性、再現性の高い独創的研究成果に基づく学位論文を提出し、規定の審査および最終試験に合格し、かつ博士課程(後期)を修了し学位を授与される者と同等以上の学力があると確認された場合に、論文博士として博士(薬科学)の学位を授与します。
- 専門分野における高度な知識と技能
- 新たな課題の設定、研究計画の立案、および研究の遂行により課題を解決する能力
- 国際的な視野をもち、研究成果を世界に向けて発信・説明できる能力
- 科学者としての高い倫理観、責任感および使命感
薬学専攻 博士課程〔4年制課程〕
医療薬学分野あるいは基礎薬学分野における講義、演習ならびに課題研究の遂行を通じて、以下に記す高度な学識と研究能力を身につけ、本課程に編成された授業科目について所定の単位を取得し、かつ独創的研究に基づく博士論文を提出し、審査委員会が実施する最終試験に合格し、研究科会議で認定された学生に、博士(薬学)の学位を授与します
なお、課程外の者が、新規性、再現性の高い独創的研究成果に基づく学位論文を提出し、規定の審査および最終試験に合格し、かつ博士課程を修了し学位を授与される者と同等以上の学力があると確認された場合に、論文博士として博士(薬学)の学位を授与します。
- 精深な専門的知識と卓越した研究能力
- 柔軟かつ論理的な思考能力
- 国際的に広く通用する優れたコミュニケーション能力
- 薬学研究者としての高い倫理観、責任感および使命感
- 優れたリーダーシップを発揮し次世代を牽引する能力