大学院[薬学研究科]

生命創薬科学専攻

概要

生命創薬科学専攻におけるコース、研究室

生命創薬科学専攻は、創薬化学コース、生命科学コースの中心となる2コースで構成されています。各コースは4つまたは5つの専攻科目で構成されます。各専攻科目を構成する研究室と指導教員は下表のとおりです。さらに、連携する学外の大学院、研究所等において研究を行なう連携部門コースもあります。大学院生は個々の研究室に所属し、研究指導を受けます。

生命創薬科学 指導教員と研究室

[ 創薬化学コース ]
研究室名 指導教員
薬品製造化学 齋藤 望 教授
(薬化学) 山中 正道 教授
有機合成化学 高取 和彦 教授
(機能分子化学) 杉山 重夫 教授
薬品物理化学 高波 利克 教授
生薬学 高取 薫 教授
(分子製剤学) 深水 啓朗 教授
[ 生命科学コース ]
研究室名 指導教員
生体分子学 長浜 正巳 教授
(生化学) 紺谷 圏二 教授
バイオインフォマティクス 紀 嘉浩 准教授
(生体機能分析学) 兎川 忠靖 教授
(分析化学) 小笠原 裕樹 教授
(感染制御学) 森田 雄二 教授
微生物学 杉田 隆 教授
薬理学 大石 一彦 教授
(薬効学) 菱沼 滋 教授

進路状況

本学大学院ではこれまで数多くの薬学修士、薬学博士が育ち、製薬関連および食品・化粧品・化学などの企業の研究、開発部門、教育研究機関(大学・研究所等)や公的機関(省庁・都道府県庁・鑑識等)をはじめとした様々な分野に就職し、活躍しています。

大学院博士課程(前期)カリキュラム

博士課程(前期)を修了し、学位を取得するためには、30単位以上を修得する必要があります。内訳は必修科目全14単位(薬学総合講義:1単位、学術論文総説講演Ⅰ:2単位、製剤学特論:1単位、生命創薬課題研究:10単位)、および選択科目16単位以上です。
選択科目は、基礎的な内容から応用までを含む特論(1単位)および演習(1単位)で構成されます。特論および演習は創薬化学コース科目と生命科学コース科目とに別れ、学生は所属するコースの特論および演習を12単位以上修得します。その他のコースの特論および演習は4単位以上を修得し、特論・演習計16単位以上を修得します。
さらに修士論文を作成し、最終試験に合格する必要があります。

1年次の4月に集中開講される「薬学総合講義」(1単位)では、大学院2年間の研究・勉学の意欲高揚につなげるため、第一線で活躍する専門家を招き製薬業界、薬学の現状と将来展望の一端の把握につとめます。また、講義内容を効率よく把握し、自己の意見や感想を表現する能力を修得します。
1年次後期に開講される「製剤学特論」(1単位)では、創薬の展開に重要な役割を持つ製剤の基礎的知識を網羅的に修得します。
さらに、大学院講義の特色を更に深め、研究の質的充実を高めるため、専門の学識を有し国内外で活躍する著名な学者(研究者)により、年10回程度の特別講義を行います。
その他、「生命創薬科学総合演習ゼミ」(2単位選択)では、生命創薬科学専門分野の様々な研究室ゼミに参加して最先端のトピックスに触れ、最前線の研究動向と多様な分野の専門的知識を学びます。
1年の夏休みには、「インターンシップ」(1単位自由選択)を導入し、将来就くことになる職業への適性を考える機会を提供し、産業界等社会との接触により、社会的役割や責任について体得します。

それぞれの研究室では、「生命創薬科学課題研究」(10単位必修)を通して、研究技法や研究能力を身につけ、「学術論文総説講演I」(2単位必修)を通して、学生同士が切磋琢磨する環境の中、知的学識、語学力、評価力、プレゼンテーション能力などを養います。そして,社会的ニーズの高い創薬研究課題に対して、探索・化学合成・分子機能解析を中心として多次元的に研究を展開し、その教育研究の成果は、専門分野の学会、シンポジウムなどで発表し、幅広い基礎薬学的知識・技能及び創造性豊かな研究的感性を研鑽し、力量ある研究者としての資質を育てるように丁寧に指導します。

博士課程(前期)学生の受け入れ

学生募集には、成績優秀な本学学生を対象とする推薦入試と、本学学生、他大学(理科系大学)学生、卒業生を対象とする一般入試があります。

さらに、外国人留学生を対象とした入学試験を実施しています。

博士課程(前期) 学位取得

博士課程(前期)の課程修了要件を満たし、修士論文を作成し、その最終試験に合格した者には「修士(薬科学)」の学位が授与されます。

博士課程(後期)カリキュラム

博士課程(後期)を修了し、学位を取得するためには必修科目15単位(学術論文作成・発表演習:1単位、学術論文総説講演Ⅱ:2単位、生命創薬科学課題研究Ⅱ:12単位)を修得し、かつ必要な研究指導を受けたうえ、博士論文を作成し、本大学院の行う博士論文の審査及び試験に合格する必要があります。
本カリキュラムを通して、研究者に求められる英語による研究・論文の作成、論理性、表現力を修得し、学部・博士課程(前期)学生の教育的指導能力を培います。
また、将来研究者として自立できる基盤となる幅広い専門的知識と研究手法を多彩な研究活動の場を通して身につけるとともに、それらを総合的に活用する研究遂行能力や問題解決能力を修得します。

博士課程(後期)学生の受け入れ

本学博士課程(前期)を修了し、引き続いて進学を許可される場合と、博士課程(前期)修了またはそれと同等の学力を有する者が入学試験に合格し入学する場合があります。
社会人及び外国人留学生を対象とする入試も実施します。

博士課程(後期)学位取得

博士課程(後期)の課程修了要件を満たし、博士論文を作成し、その最終試験に合格した者には「博士(薬科学)」の学位が授与されます。

生命科学コースでは、分子レベルの病態機能解析などから治療薬の分子標的を探ります。
生体分子と薬物分子の視点から新しい治療薬の標的分子を特定します。ゲノム情報を活用しながら生体と薬との関係を多面的に研究するコースです。
生命科学コースを構成する研究室は、以下の研究室です。

研究概要と関連論文

長浜正巳教授・博士(学術)

AAA-ATPaseファミリーの分子シャペロンとしての働きについて、動物細胞の機能制御という観点から、リボソーム生合成およびrRNA代謝に関する研究を中心にプロジェクトを進めている。
動物細胞のリボソーム生合成およびrRNA代謝は、リボヌクレアーゼやRNAヘリカーゼをはじめとした多数の分子による複雑かつ秩序立った連携により成立している。これらの分子間相互作用を制御する分子シャペロンの働きについて、AAA-ATPaseファミリーに属するNVL2 の機能を中心に解析をしている。

  1. Sudo, H., Nozaki, A., Uno, H., Ishida, Y., and Nagahama, M. Interaction properties of human TRAMP-like proteins and their role in pre-rRNA 5’ETS turnover. FEBS Lett. 590, 2963-2972 (2016) . 464, 780-786 (2015)
  2. Hiraishi, N., Ishida, Y., Sudo, H., and Nagahama, M. WDR74 participates in an early cleavage of the pre-rRNA processing pathway in cooperation with the nucleolar AAA-ATPase NVL2. Biochem. Biophys. Res. Commun. 495, 116-123 (2017)
  3. Ishida, Y., Miyao, S., Saito, M., Hiraishi, N., and Nagahama, M. Interactome analysis of the Tudor domain-containing protein SPF30 which associates with the MTR4-exosome RNA-decay machinery under the regulation of AAA-ATPase NVL2. Int. J. Biochem. Cell Biol. 132, 105919 (2021)
紺谷圏二教授・博士(理学)、荒木信助教・博士(薬学)

細胞内の物質輸送系やシグナル伝達系の分子機構に関して、様々な研究アプローチにより解析を行っている。

  1. リソソームは様々な物質分解を担うオルガネラであるが、その機能発現に関与する低分子量Gタンパク質ARL8について、活性制御機構やマウスを用いた個体レベルでの生理的役割の解析を行っている。
  2. 細胞膜から小さく突出した構造体である一次繊毛は、様々な外界環境の感知を行っており、その異常は嚢胞腎などの繊毛性疾患の原因になっている。ARL6やARL13bは一次繊毛の形成・機能に関与する低分子量Gタンパク質であり、それらの活性制御機構や機能に関して、生化学的・細胞生物学的手法により解析を行っている。
  3. 高コレステロール血症治療薬のスタチンは、筋組織の細胞死を伴う横紋筋融解症を起こすが発症機序は明らかとなっていない。これまでに、スタチンが非選択的なタンパク質分解機構のオートファジーを誘導することを明らかにしており、筋組織の細胞死とオートファジー誘導の関連性について解析を行っている。
                  
  1. Hashimoto K, Yamaguchi Y, Kishi Y, Kikko Y, Takasaki K, Maeda Y, Matsumoto Y, Oka M, Miura M, Ohata S, Katada T and Kontani K. Loss of the small GTPase Arl8b results in abnormal development of the roof plate in mouse embryos. Genes Cells. 24 436-448 (2019).
  2. Oka M, Hashimoto K, Yamaguchi Y, Saitoh SI, Sugiura Y, Motoi Y, Honda K, Kikko Y, Ohata S, Suematsu M, Miura M, Miyake K, Katada T and Kontani K. Arl8b is required for lysosomal degradation of maternal proteins in the visceral yolk sac endoderm of mouse embryos. J. Cell Sci. 130 3568-3577 (2017).
  3. Araki M., Maeda M. and Motojima K., Hydrophobic statins induce autophagy and cell death in human rhabdomyosarcoma cells by depleting geranylgeranyl diphosphate. Eur. J. Pharmacol, 674, 95-103 (2012).
紀 嘉浩准教授・博士(学術)
  1. 神経疾患の病態修飾因子の探索:アルツハイマー病・筋萎縮性側索硬化症・筋強直性ジストロフィーなどの神経難病を対象として、発症経路の鍵となる分子の特定を目指します。①疾患の原因遺伝子やリスク遺伝子に注目し、これらを共通に制御する上流因子群を明らかにすることで、疾患に大きく寄与し得る分子経路の特定を試みます。②疾患モデル細胞やモデルマウスを用いて、疾患に影響することが予測される遺伝子の発現を操作し、その影響を検証します。網羅的遺伝子発現解析などを用いて分子レベルでの異常を明らかにします。また、ダイレクトリプログラミングなどの手法を用いて新たな神経疾患モデルの樹立を試みます。
  2. タンパク質・RNA凝集物の存在意義の解明:多くの神経変性疾患では、脳内でのタンパク質凝集物の蓄積を特徴とします。また、リピート配列の伸長を原因とする疾患ではRNAの凝集物が蓄積することもあります。これらのタンパク質・RNA凝集物の病態上の意義を調べるため、細胞に対するこれら凝集物の影響や、凝集形成・分解の分子機構を明らかにすることを試みます。
  3. RNA代謝を探るツールとしてのケミカルバイオロジー:天然由来の化合物にはRNAプロセシングに影響するものがあります。これらの作用機序を明らかにし、より高活性あるいは高選択性を示す化合物の取得を目指します。また、化合物と結合することで蛍光を発するRNAアプタマーを応用して、疾患関連RNAの性質や挙動の理解を目指します。
  1. Yanaizu M, Sakai K, Tosaki Y, Kino Y, Satoh J. Small nuclear RNA-mediated modulation of splicing reveals a therapeutic strategy for a TREM2 mutation and its post-transcriptional regulation. Sci. Rep. 8, 6937 (2018).
  2. Satoh JI, Kino Y, Yanaizu M, Ishida T, Saito Y. Microglia express GPNMB in the brains of Alzheimer's disease and Nasu-Hakola disease. Intractable Rare Dis. Res. 8, 120-128 (2019).
  3. Yanaizu M, Washizu C, Nukina N, Satoh JI, Kino Y. CELF2 regulates the species-specific alternative splicing of TREM2. Sci Rep. 10, 17995 (2020)
兎川忠靖教授・薬学博士、片山昌勅准教授・薬学博士、月村考宏講師・博士(薬学)

創薬、診断および治療効果の確認においてバイオマーカーの測定は必須である。遺伝性難病や男性不妊症などの疾患で、特異性を持って疾患の状態を反映するバイオマーカーを探索し、その分析法を開発する。

  1. Tsukimura T, Tayama Y, Shiga T, Hirai K, Togawa T and Sakuraba H.
    Anti-drug antibody formation in Japanese Fabry patients following enzyme replacement therapy. Mo.l Genet. Metab. Reports, 25, 100650 (2020).
  2. Katayama M, Kaneko S, Tsukimura T, Takamatsu K and Togawa T.
    The study investigating the determination of protamine in seminal plasma from azoospermic donors: Suggestion of new methods to diagnose obstructive azoospermia, and to capture childbearing sperm for testicular sperm extraction (TESE) and insemination sperm injection (ICSI). Anal Biochem, 604, 113792-113794 (2020).
  3. Kanzaki M, Tsukimura T, Chiba Y, Sakuraba H and Togawa T. Surface plasmon resonance analysis of complex formation of therapeutic recombinant lysosomal enzymes with domain 9 of human cation-independent mannose 6-phosphate receptor. Mol. Genet. Metab. Reports, 25, 100639 (2020).
小笠原裕樹教授・博士(薬学)、鈴木俊宏准教授・博士(薬学)、小池伸助教・博士(薬学)
  1. バイオマーカーの探索:ストレスに起因する疾病(カルボニルストレス性統合失調症など)の診断・薬物治療の指標として有用な生体成分を見出し、その測定法を開発、確立すると共に、疾病の発症機序の解明に繋がる知見を得ることを目的とする。
  2. ストレス応答因子の解析:酸化的なストレスに対する生体応答に着目して、ストレス負荷時における、細胞内のレドックス制御関連遺伝子、タンパク質の発現変動や、抗酸化的な低分子成分の変化について調べることにより、酸化還元バランスの巧妙な制御システムを詳細化する。
  3. 抗がん剤輸送機構の解析と耐性克服:シスプラチンなどの抗がん剤の輸送に関わる分子を、マイクロアレイなどの網羅的解析により見出して、その働きを詳細化する。更に、LC-MS 等の機器を駆使した分析により、薬物の体内動態を明らかにし、癌化学療法における耐性克服を目指す。
  1. Koike S, Toriumi K, Kasahara S, Kibune Y, Ishida YI, Dan T, Miyata T, Arai M, Ogasawara Y. Accumulation of Carbonyl Proteins in the Brain of Mouse Model for Methylglyoxal Detoxification Deficits. Antioxidants 10, 574 (2021).
  2. Koike S, Ando C, Usui Y, Kibune Y, Nishimoto S, Suzuki T, Ogasawara Y. Age-related alteration in the distribution of methylglyoxal and its metabolic enzymes in the mouse brain. Brain Res. Bull. 144, 164-170 (2019)
  3. Suzuki T, Ishibashi K, Yumoto A, Nishio K, Ogasawara Y. Utilization of arsenic trioxide as a treatment of cisplatin-resistant non-small cell lung cancer PC-9/CDDP and PC-14/CDDP cells. Oncol. Lett. 10, 805-809 (2015).
森田雄二教授・博士(薬学)、市川智恵准教授・博士(薬学)

抗微生物薬ならびにワクチンの開発などにより、多くの感染症を制御することが可能になった一方で、薬剤耐性菌、新興・再興感染症、院内感染、日和見感染などが大きな問題となっている。特に現在有効な薬の効かない病原微生物の出現は、何も対策を立てなければ感染症治療が困難であった時代に逆戻りすることを意味し、人類にとって大きな脅威である。そこで私たちは感染制御の基盤となる薬学研究を展開する。

  1. 微生物の薬剤耐性や病原性に関する研究
  2. 新規感染症治療薬の開発に関する研究
  3. 国内外における感染症の動向と感染制御における薬剤師の役割に関する研究
  1. Morita Y,Tomida J, Kawamura Y. Efflux-mediated fluoroquinolone resistance in the multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa clinical isolate PA7: identification of a novel MexS variant involved in upregulation of the mexEF-oprN multidrug efflux operon. Front. Microbiol., 6: Article 8 (2015). doi: 10.3389/fmicb.2015.00008.
  2. Ichikawa T, Yoshiyama N, Ohgane Y, Ikeda R, Switching of colony morphology and adhesion activity of Trichosporon asahii clinical isolates. Med. Mycol., 54, 189-196 (2016). doi: 10.1093/mmy/myv089.
  3. Morita Y, Nakashima K, Nishino K, Kotani K, Tomida J, Inoue M, Kawamura Y. Berberine is a novel type efflux inhibitor which attenuates the MexXY-mediated aminoglycoside resistance in Pseudomonas aeruginosa. Front. Microbiol., 7: Article 1223 (2016). doi: 10.3389/fmicb.2016.01223.
杉田隆教授・博士(薬学)、松本靖彦准教授・博士(薬学)、倉門早苗助教・博士(薬科学)
  1. 皮膚マイクロバイオームと疾患制御
    皮膚には多種多様な微生物がマイクロバイオームとして絶妙なバランスを保持しながら常在し、ヒトの健康増進に寄与しています。このバランスが破綻すると疾患へ進展していくことがあります。当研究室は、マイクロバイオームのバランス制御が疾患の克服に貢献すると考え、尋常性ざ瘡、アトピー性皮膚炎や細菌性膣症などを対象に患者皮膚マイクロバイオームを解析し、その制御法の開発へと研究を展開しています。
  2. 病原微生物の感染システムの解明
    ヒトは、様々な病原性細菌や真菌による感染症に罹患します。それら病原微生物がどのように宿主に侵入して感染を成立させるのかを明らかにすれば、感染症に対する治療法や予防法の確立につながります。当研究室では、黄色ブドウ球菌などの病原細菌やトリコスポロンなどの病原真菌に注目して、微生物の感染機構の解明を目指しています。遺伝学的解析と生化学的解析を主軸としたアプローチと、昆虫であるカイコを実験動物として用いるユニークな手法を複合させて、病原微生物の感染についての理解を深めていきます。得られた成果に基づいて新しい感染症対策の方法論の開発を推進します。
  3. 病原微生物の環境適応
    微生物がヒト体内において感染を成立させるためには、生体内に侵入後、適当な基質に付着し、体内環境に適応しながら生存していく必要があります。微生物の生存戦略のひとつとして、バイオフィルム(BF)形成が挙げられます。BFは、多糖類などから構成されるマトリックスで覆われた微生物の集合体であり、治療薬に対して耐性を示します。当研究室では、BF形成機序を解明することで、難治性のBF感染症の予防・治療に資することを目的とし、真菌の形態変換に着目した形成機序の解析や、真菌-細菌複合BF感染症における菌種間の相互作用について研究を進めています。
  1. Kurakado S, Chiba R, Sato C, Matsumoto Y, Sugita T. N,N,N',N'-tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine, a zinc chelator, inhibits biofilm and hyphal formation in Trichosporon asahii. BMC Res Notes. 13, 142, (2020)
  2. Matsumoto Y, Azami S, Shiga H, Nagamachi T, Moriyama H, Yamashita Y, Yoshikawa A, Sugita T. Induction of signal transduction pathways related to the pathogenicity of Cryptococcus neoformans in the host environment. Drug Discov Ther. 13, 177-182, (2019)
  3. Ohkubo T, Matsumoto Y, Cho O, Ogasawara Y, Sugita T. Complete genome sequence of Citrobacter koseri strain MPUCK001. Microbiol Resour Announc. 9, e01228-20 (2020).
大石一彦教授・薬学博士、小川泰弘講師・博士(理学)
  1. 神経変性疾患の病態発現機構に関する研究
    アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は、脳内の特定の神経細胞群が徐々に細胞死を起こし脱落してしまう疾患であり、冒された神経細胞群の違いによって様々な症状を呈する。この神経変性疾患がどのような機序で起きるのかに関しては未だ不明な点が多い。我々は、アルツハイマー病モデルマウスからiPS 細胞を樹立し、これを用いてin vitroにおいて病態変化を再現することで明らかにする。そして、モデルマウスから得られる知見と比較解析することで、病態の本質的解明を目的とする。さらに、疾患特異的iPS細胞を利用した創薬スクリーニング系により神経細胞死を改善できる低分子化合物の探索を目指す。
  2. 中枢神経系の発達異常に関する研究
    ザンドホッフ病(SD)は、Hexb 遺伝子の変異により、β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性が同時に失われ、GM2ガングリオシドが主としてニューロンに蓄積する疾患である。患者は乳児期から若年期にかけて発症し始め、精神運動障害や痙攣などの進行性の神経障害を呈する。しかし、GM2の蓄積が脳神経系の機能を傷害するメカニズムに関しては不明な点が多い。それは、SD は稀少疾患であり、患者の発生・発達過程での情報がブラックボックスであることが大きな要因である。そこで我々は、SDの病態モデルマウスであるHexb遺伝子欠損マウスからiPS 細胞を樹立し、これを用いてSDの発症前早期に潜在する病態変化を明らかにする。そして、Hexb 遺伝子欠損マウスから得られる知見と比較解析することで、病態の本質的解明と新たな治療戦略の開発基盤を提供することを目的とする。
  3. 神経堤細胞の多分化能に関する研究
    末梢神経系は、神経管の背側に発生する細胞集団である神経堤細胞に由来する。この神経堤細胞は、各組織に向かって広範囲に遊走し、様々な細胞に分化・成熟する。また、神経堤細胞は各組織に分化・成熟した後も少数は未分化な状態で潜伏し、組織の修復や維持に関与していると考えられているため、再生医療への応用という観点からも注目を集めている。しかしながら、神経堤細胞は極めて広範な細胞種へ分化する能力をもっており増殖能も低いことから、未分化維持機構や運命決定機構に関しては、未だに不明な点が多いのが現状である。P0-Cre;Z/EG マウスは、Cre/loxP システムを利用してGFPの発現を指標に、末梢神経系特異的プロモーターの一つであるP0の発現を系譜トレースすることができるので、神経堤細胞もしくは神経堤細胞経由の神経系細胞の標識に有用である。我々は、P0-Cre;Z/EG マウスとそのマウスより作製したiPS 細胞を用いて神経堤細胞の分化制御機構を明らかにする。
  1. Ogawa Y, Furusawa E, Saitoh T, Sugimoto H, Omori T, Shimizu S, Kondo H, Yamazaki M, Sakuraba H and Oishi K. Inhibition of astrocytic adenosine receptor A2A attenuates microglial activation in a mouse model of Sandhoff disease. Neurobiol Dis, 118, 142-154 (2018).
  2. Ogawa Y, Sano T, Irisa M, Kodama T, Saito T, Furusawa E, Kaizu K, Yanagi Y, Tsukimura T, Togawa T, Yamanaka S, Itoh K, Sakuraba H, Oishi K. FcRγ-dependent immune activation initiates astrogliosis during the asymptomatic phase of Sandhoff disease model mice. Sci Rep, 7, e40518 (2017).
  3. Ogawa Y, Kaizu K, Yanagi Y, Takada S, Sakuraba H, Oishi K. Abnormal differentiation of Sandhoff disease model mouse-derived multipotent stem cells toward a neural lineage. PLoS ONE, 12, e0178978 (2017).
菱沼滋教授・薬学博士、道永昌太郎講師・博士(薬学)

「受容体の分子生物学 ―受容体機能の生理的・病理的・薬理的変動機構の解明と創薬・薬物治療への応用―」
内因性生理活性物質(神経伝達物質、ホルモン、オータコイドなど) や外来性刺激分子(光、味、臭いなど)は、我々の身体に存在する「受容体」に結合して初めて生理作用を発揮する(結合なくして作用なし Corpora non agunt nisi fixata: Paul Ehrlich)。即ち、受容体は、生体機能調節において中心的な役割を担う。従って、受容体が質的・量的に変化すると、生体機能に大きな影響が現れることになる。特に、G 蛋白質共役型受容体は、最も大きな受容体スーパーファミリーを形成するとともに、臨床薬の主要なターゲットにもなっていることから、当該研究では、G 蛋白質共役型受容体の機能制御機構に焦点を当て、以下の研究プロジェクトを進めている。

  1. G 蛋白質共役型受容体の薬物親和性制御機構に関する研究(Receptor Pharmacokinetics)
    ヒト・G 蛋白質共役型受容体遺伝子は、約1,000種類存在すると考えられている。これらG 蛋白質共役型受容体の立体構造(細胞膜7回貫通型構造)はきわめて類似しているにもかかわらず、様々な生理活性物質を選別して受容することができる。当該研究では、受容体に対する薬物の結合親和性制御機構を解析し、受容体と薬物との「赤い糸」を解き明かす。
  2. G 蛋白質共役型受容体の細胞内輸送機構に関する研究(Receptor Trafficking)
    刺激を受けたG 蛋白質共役型受容体は、細胞内に輸送された後、一部は細胞表面にリサイクリングされ、一部はリソソーム等で分解される。細胞の刺激感受性は、このような受容体の数・分布の変動によっても制御されており、この平衡の乱れが疾患を誘発するとともに、薬物治療自身も受容体機能の変動をもたらす。当該研究では、受容体の細胞内輸送機構を解析し、刺激された受容体がたどる運命とそのメカニズムを解明する。
  1. Kobayashi C, Tanaka A, Yasuda T, Hishinuma S. Roles of Lys191 and Lys179 in regulating thermodynamic binding forces of ligands to determine their binding affinity for human histamine H1 receptors. Biochem. Pharmacol. 180, 114185 (2020).
  2. Akimoto H, Sugihara M, Hishinuma S. Differential regulation of bilastine affinity for human histamine H1 receptors by Lys 179 and Lys 191 via its binding enthalpy and entropy. Int. J. Mol. Sci. 22, 1655 (2021).
  3. Akimoto H, Uesawa Y, Hishinuma S. Molecular determinants of the kinetic binding properties of antihistamines at the histamine H1 receptors. Int. J. Mol. Sci. 22, 2400 (2021).

明治薬科大学の連携大学院方式

近年、バイオサイエンスの高度な展開により、医科学の研究に関心のある学生も多くなっております。この社会的要請と学生からの要請に応えるため、2001年度から明治薬科大学大学院は医科学研究まで教育の拡大を目指して連携大学院方式を導入し、連携部門コースを薬学専攻博士課程(前期)の中に設置しました。
2010年度から大学院生命創薬科学専攻博士課程(前期)の設置に伴い、医科学の基礎研究となる分野を連携部門コースの中に存続させることにしました。なお、旧課程(薬学専攻博士課程(前期))の募集停止に伴い、医療薬学研修コースの募集は停止しました。
2014年度から、博士課程(後期)の募集を開始しました。

連携部門コースのカリキュラム

生命創薬科学専攻博士課程(前期)の連携部門コースを選択した学生は本学大学院薬学研究科に在籍し、課程修了に必要な単位は、連携部門コースで定められたカリキュラム(生命創薬科学課題研究、学術論文総説講演Ⅰ)以外は本学において修得します。

連携部門での博士課程(前期)課題研究

研究場所:連携医療機関の基礎または臨床研究室、医科学研究機関
研究期間:2年間
単  位:生命創薬科学課題研究として10単位とする。
指導教員:課題研究指導依頼先の連携部門責任者(本学連携大学院客員教員に任命)。また、各連携機関との連絡のために本学に連携大学院委員会を置き、大学院担当専任教員から副指導教員を選任し、連携先の学生の修学指導等に関し、補完的役割を担当する。

連携大学院方式に基づく博士課程生命創薬科学課題研究を行う連携部門

  1. 公益財団法人がん研究会がん研究所、がん化学療法センター   発がん研究部  がん生物部  分子生物治療研究部  ゲノム研究部
  2. 東京慈恵会医科大学医学部
    分子疫学研究部
  3. 公益財団法人東京都医学総合研究所
    パーキンソン病研究室
  4. 日本医科大学大学院医学研究科
    分子解剖学分野  解剖学・神経生物学分野  感覚情報科学分野   生体統御科学分野  薬理学分野   生体機能制御学分野  遺伝子制御学分野   循環器内科学分野  血液内科学分野  呼吸器内科学分野   臨床放射線医学分野  皮膚粘膜病態学分野  代謝・栄養学分野   解析人体病理学分野  腎臓内科学分野  アレルギー膠原病内科学分野   頭頸部・感覚器科学分野  形成再建再生医学分野 救急医学分野
  5. 日本獣医生命科学大学大学院
    獣医病理学 生体分子化学 獣医生化学
  6. 東京都健康長寿医療センター 研究所
    老化機構研究チーム・プロテオーム