第 3 章 古典物理学の成功と綻び
古典統計力学におけるエネルギーの等分配則
外界と温度 T の熱平衡にある系の内部エネルギーは,系の各自由度に(1/2)kBT の エネルギーが分配されたエネルギーに等しい。 (エネルギーの等分配則)
kB は Boltzmann 定数と呼ばれる次のような単位と値をもつ定数である。
kB = 1.3804×10-23 J/K
エネルギーの等分配則は(古典)統計力学の帰結として得られる。
N個の分子から成る理想気体の比熱(古典力学)
1原子分子の自由度は並進運動の自由度 3 なので, 内部エネルギーは
U = (3/2)NkBT
2原子分子の自由度は並進運動の自由度 3 及び 分子軸に垂直な軸の回りの回転の自由度 2 なので, 内部エネルギーは
U = (5/2)NkBT
これに分子軸に沿った振動が加わると,NkBT を加えて,以下のようになる。
U = (7/2)NkBT
Avogadro 数を NA とすると,NA kB = R が気体定数
気体のモル比熱は,
cV = (∂U/ ∂T) V, N=NA
で与えられる。
理想気体の平均エネルギー,固体の内部エネルギー (TeX document)
固体の比熱(古典力学)
外界と温度 T の熱平衡にある一個の1次元調和振動子の平均エネルギー <εvib> は
vib> = kBT
Dulong Petit の法則
原子数 N の固体は,固体全体としての並進運動の自由度 3 と,固体の重心の回りの回転運動の 自由度 3 を除いた自由度が振動の自由度となる。したがって,振動の自由度は 3N - 6 となる。 固体においては N >> 6 だから,3N - 6 ≒ 3N である。
したがって,固体の内部エネルギーは,以下のようになる。
U = 3NkBT
空洞放射 --- エネルギー等分配則が成り立たない例
電磁場の自由度は無限大なのでエネルギー等分配則が成り立つと すれば内部エネルギーは発散してしまうことになり事実に矛盾する。 この場合,エネルギー等分配則は成り立たない。
Planck の仮説
光と物質は一定の固まりとしてエネルギーを授受する。
振動数がνの光のエネルギーはhνの整数倍である。
Planck によるこの発見は古典力学の限界を認識させ,新しい力学 の必要性を示唆し,量子力学建設の先鞭を作った。
教科書 p.190〜192 参照
エネルギー等分配則,空洞放射(黒体放射),量子理想気体 (Tex document)

演習問題
1. 2原子分子の自由度について次の問に答えなさい。
(1) 分子軸の回りの回転の自由度考慮する必要がない理由を考えなさい。
(2) 分子軸方向の振動が自由度として加わるときの内部 エネルギーを求めなさい。
2. 固体の自由度について次の問に答えなさい。
(1) 固体において振動の自由度は 3N - 6 であることを説明 しなさい。
(2) 3N - 6 を 3N と近似して差し支えない理由を説明しなさい。
この問題を通して勉強すること
古典力学におけるエネルギーの等分配則の意味を知り,それが空洞放射 の場合に適用できないことを理解する。
解答は こちら にあります。

課題
1. 実在気体のモル比熱を調べてみよう。

SYLLABUS 目次

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