公開セミナーの要旨(開催予定・終了分)

セミナー・講演は広く一般の方にも公開しております。(無料・予約不要)






終了分 第32回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2013年2月4日(月) 10:30〜12:00
場 所 総合教育研究棟フロネシス 講義室1
演 者 岩手医科大学薬学部臨床医化学講座 教授 那谷 耕司
演 題 インスリン産生膵β細胞におけるヘパラン硫酸の機能

要 旨 セミナーの要旨に関しては

インスリン産生膵β細胞におけるヘパラン硫酸の機能

をご参照下さい。



第31回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2013年1月21日(月) 16:00〜17:30
場 所 講義棟201講義室
演 者 千葉大学 真菌医学研究センター 感染免疫部門 特任准教授 西城 忍
演 題 C型レクチン 〜自然免疫と獲得免疫機構における役割〜

要 旨 セミナーの要旨に関しては

C型レクチン 〜自然免疫と獲得免疫機構における役割〜

をご参照下さい。







終了分 第30回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年12月20日(木) 16:00〜17:30
場 所 講義棟205講義室
演 者 長浜バイオ大学 客員教授 木曽 良明
演 題 生命分子を基盤とする統合創薬科学研究:難病克服を目指して

要 旨 セミナーの要旨に関しては

生命分子を基盤とする統合創薬科学研究:難病克服を目指して

をご参照下さい。



第29回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年12月13日(木) 16:00〜17:30
場 所 本部棟マルチメディア講義室
演 者 星薬科大学生薬学 教授 森田 博史
演 題 熱帯植物資源を用いた創薬シーズの探索

要 旨 セミナーの要旨に関しては

熱帯植物資源を用いた創薬シーズの探索

をご参照下さい。



第28回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年12月6日(木) 16:10〜17:40
場 所 本部棟マルチメディア講義室
演 者 新間 信夫 (株)シンジェン・コンサルティング 代表取締役
演 題 腫瘍選択的経口抗癌剤ゼローダの開発とその後の展開

要 旨 セミナーの要旨に関しては

腫瘍選択的経口抗癌剤ゼローダ®の開発とその後の展開

をご参照下さい。



明治薬科大学ハイテクリサーチセンター平成20〜24年度研究成果発表会
-次世代の創薬研究に向かって-

日 時:2012年10月6日(土)9:50〜17:00
会 場:明治薬科大学清瀬キャンパス
〒204-8588 東京都清瀬市野塩2-522-1

本学ハイテクリサーチセンター研究事業「ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究の拠点形成(5ヶ年計画)」が、最終年度を迎え、以下の予定で平成20〜24年度公開研究成果発表会を開催いたします。
多くの皆様のご来聴よろしくお願い申し上げます。

研究発表会:総合教育研究棟フロネシス2階 講義室2 9:50〜15:20

特別講演:総合教育研究棟フロネシス2階 講義室2 15:30〜16:50
(1) 生物活性アルカロイドの探索と全合成 
   千葉大学大学院薬学研究院生体機能性分子研究室 教授 高山 廣光

(2) 細胞接着分子インテグリンと胃がんの腹膜播種転移
   星薬科大学薬学部微生物学教室 教授 辻 勉

懇親会:厚生棟学生食堂 17:00〜18:30

参加費無料で事前登録不要です。



第27回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年6月15日(金) 16:10〜17:30
場 所 本部棟大学院マルチメディア講義室
演 者 東京農工大学大学院農学研究院 教授 高橋 信弘
演 題 プロテオミクスの手法を用いたヒト細胞におけるリボソーム生合成制御機構の解析

要 旨 プロテオミクスは、蛋白質の種類と量を高感度・迅速かつ網羅的に同定するための蛋白質分離と質量分析技術の進歩に依存した技術志向型の研究分野として発展してきた。この分野は、ゲノム解析による蛋白質・遺伝子配列のデータベースの整備とも相俟って、ここ10 年間で急速に拡大し、現在までに少なくとも6 つの主要な国際学会から専門誌が発行されるまでになった。中でも米国生化学会が発行するMol.Cell.Proteomics はImpact factor でEMBO J.やProc. Natl. Acad. Sci. USA、などの雑誌に匹敵するまでに成長し、その他の専門誌も軒並み高レベルとなり、プロテオミクス分野はゲノム科学の主要分野の一つとして、より広く認知されるようになって来た。実は、この技術が最も広範に駆使され、その認知度を高めた解析対象はリボソーム生合成である。本セミナーでは、プロテオミクスの現状と、そのリボソーム生合成の解析にどのように利用されて来たかについて、我々の研究結果も含め紹介したい。



第26回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年4月12日(木) 16:10〜17:30
場 所 講義棟205教室
演 者 明治薬科大学バイオインフォマティクス 教授 佐藤 準一
演 題 グリオーマのシステムズバイオロジー創薬

要 旨 グリオーマのシステムズバイオロジー創薬

グリオーマは神経膠細胞を母地として発生する脳腫瘍である。なかでもグリオブラストーマ(glioblastoma ; WHO grade IV)は、成人脳腫瘍の約20%を占め、最も悪性度が高く、予後不良で生存期間は2年以内である。急速に増殖し浸潤性であり、手術による全摘が難しく、放射線照射や化学療法に抵抗性を示す。最新の治療薬Temozolomide (an oral alkylating agent), Bevacizumab (an anti-VEGF monoclonal antibody)を投与しても、完治は非常に困難である。従って、グリオブラストーマに対する画期的な創薬が待望されている。文部科学省平成20-24年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業として選定された明治薬科大学ハイテクリサーチセンター(HRC)研究事業「ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究の拠点形成(S0801043)」では、学内15名の主任研究者が、難病克服研究・発癌制御研究・生体分子機能解明研究・創薬基盤技術開発研究の4グループを形成し、互いに密接に連携して、ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究を展開している。特に、化学系グループが開発した創薬シード化合物を、生物系グループが培養細胞や実験動物に投与し、細胞や組織における遺伝子発現をマイクロアレイで網羅的に解析し、薬効発現の分子機序の解明を目指している。われわれは、発癌制御グループの齋藤らが海洋生物から抽出し合成したテトラヒドロイソキノリンecteinascidin-770 (ET-770), renieramycin M (RM)の抗癌活性に注目し、培養ヒトグリオブラストーマU373MGに投与して、アポトーシス誘導の分子機序の解明を試みた。マイクロアレイ解析と分子ネットワーク解析により、ET-770, ET-770-derivative, RMは共通してnMオーダーで、EGFRシグナル伝達系をシステムとして抑制することがわかった。このような化学系と生物系が有機的に連携した横断的な共同研究により、グリオブラストーマに対する新規創薬標的分子として抗アポトーシス機能分子GSK3Bを同定することが出来た(Tabunoki et al. Cancer Cell Int, in press)。



第25回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2012年2月15日(水) 17:30〜19:00
場 所 本部棟マルチメディア講義室
演 者 聖路加国際病院アレルギー膠原病科 医師 武田 昭
演 題 膠原病性間質性肺炎の発症機序=免疫学的アプローチによる洞察

要 旨 膠原病 (Connective Tissue Diseases; CTDs) は、全身性多臓器性の炎症性疾患と捉えられ、その病因として自己免疫機序の関与が強く示唆される疾患群である。皮膚や関節・筋骨格系など、リウマチ性疾患に一義的な病変に加え、種々の臓器の炎症性病変をともない、なかでも、押しなべて肺病変の発現頻度は高い。とくに間質性肺炎は、しばしば難治性・進行性の経過を辿るため、生命の予後に大きな影響を及ぼす合併症となっている。間質性肺炎は、いくつかの病型に分類されるが、その本質は、原因不明の非感染性の胞隔炎であり、組織学的には、間質への炎症細胞浸潤と線維化によって特徴づけられる。われわれは、病理学的診断のために採取した発症早期の間質性肺炎の組織を利用し、免疫学的手法を駆使して解析を進めてきた。その結果、病態形成におけるT細胞の重要な働きが明らかとなってきた。本講演では、key playerとしてのT細胞の役割を中心に膠原病性間質性肺炎の発症メカニズムに関する洞察を示してみたい。







終了分 第24回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2011年12月9日(金) 16:10〜17:40
場 所 本部棟マルチメディア講義室
演 者 星薬科大学 薬学部薬品製造化学教室 教授 本多 利雄
演 題 欲しいものを確実に作る化学:生物活性天然物の合成を題材に

要 旨 セミナーの要旨に関しては

欲しいものを確実に作る化学 ―生物活性天然物の合成を題材に―

をご参照下さい。



明治薬科大学ハイテクリサーチセンター特別講演会
-次世代のゲノム創薬を目指して-

日 時: 2011年10月15日(土) 13:00〜17:00
会 場: 明治薬科大学清瀬キャンパス
〒204-8588 東京都清瀬市野塩2-522-1

明治薬科大学ハイテクリサーチセンター研究事業「ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究の拠点形成(5ヶ年計画)」が4周年を迎え、特別講演会を開催いたします。
多くの皆様のご来聴よろしくお願い申し上げます。

特別講演:フロネシス棟2階講義室 14:20〜16:40

(1) 有機合成化学によるイオンチャネル機能の制御・構築 
東京大学大学院薬学研究科有機反応化学教授 井上 将行

講演要旨/有機合成化学によるイオンチャネル機能の制御・構築

(2) 疾患感受性遺伝子と細胞内創薬ターゲット
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部分子情報薬理学分野教授 福井 裕行

講演要旨/疾患感受性遺伝子と細胞内創薬ターゲット


ポスターセッション:厚生棟食堂13:00〜14:00
懇親会:厚生棟食堂 17:00より
参加費無料で事前登録不要です.

優秀ポスター発表賞受賞者:杉田 典昭(薬品物理化学)、松永 和磨(有機合成化学)、神垣 瑛子(薬理学)、田中 貴文(微生物)



第23回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2011年9月6日(火) 17:00〜18:30
場 所 本部棟マルチメディア講義室
演 者 国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター
第二室室長 佐藤 裕徳
演 題 ヒト免疫不全ウイルスの免疫逃避と進化を司る構造基盤

要 旨 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、世界各地で流行を続ける後天性免疫不全症候群(エイズ)の病原体である。現在、地上には3000万人を超すHIV感染者がおり、累積死亡者数は先の2度の世界大戦を上回る2000万人に達する。エイズ発症防ぐ治療薬が開発されているが、感染を予防するワクチンは無い。HIVは、感染後、ヒトの免疫を逃避して持続的に増殖を続ける。この間、感染者体内では1日に1010-12ものHIV粒子が作られる。何故、HIVがヒトの免疫を逃避できるのかは、依然としてよくわかっていない点が多い。我々は、HIV増殖制御の土台をつくるために、HIVの免疫逃避のしくみについて研究している。その際、ウイルス学の汎用技術、in silico構造解析、情報科学の手法などを併用することで、研究の質と速度の向上を試みている。本セミナーでは、研究室の方法論を簡単に紹介しつつ、HIVの中和抗体逃避能と細胞指向性の進化を司る蛋白質の構造要因について最新の知見を紹介する。



第22回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2011年7月25日(月) 17:00〜18:00
場 所 講義棟2階206講義室
演 者 明治薬科大学ハイテクリサーチセンター長・バイオインフォマティクス 教授 佐藤 準一
演 題 那須ハコラ病の臨床病理遺伝学的研究 -認知症疾患発症機構の解明を目指して-

要 旨 那須ハコラ病(Nasu-Hakola disease; NHD)は、1970年代初頭に那須毅博士とHakola博士により同時に発見された多発性骨嚢胞と白質脳症を主徴とする常染色体劣性遺伝性疾患である。NHDでは19q13.1染色体上のDNAX-activation protein 12(DAP12)遺伝子または6p21.1染色体上のtriggering receptor expressed on myeloid cells 2(TREM2)遺伝子に機能喪失変異を認める。病期は以下の4期に区分される。(1)無症候期(20歳代まで), (2)骨症状期(20歳代以降):長管骨の骨端部に好発する多発性骨嚢胞と反復する病的骨折, (3)早期精神神経症状期(30歳代以降):脱抑制・多幸症・人格障害・言語障害などの前頭葉症候・てんかん発作, (4)晩期精神神経症状期(40歳代以降):進行性認知症を呈し、寝たきり状態となる。NHDは稀少疾患で、患者は日本とフィンランドに集積しているが、本邦ではTREM2変異の症例報告はない。TREM2(receptor)とDAP12(adaptor)は、破骨細胞やミクログリアの細胞膜上で会合し複合体を形成してITAMモチーフを介してシグナルを伝達する。NHDの発症機序として、破骨細胞やミクログリアの何らかの機能障害が考えられているが、脳症発症機構の詳細は解明されておらず、未だ有効な治療法がない。厚生労働科学難治性疾患克服研究事業「那須ハコラ病の臨床病理遺伝学的研究班」では、本邦で初めて臨床診断基準を作成しWeb上で公開し、全国神経内科・精神科・整形外科4071施設を対象にアンケート調査を実施した。本邦患者数を200人と推定し、ホームページに患者家族の相談窓口を開設した。また本邦初のTREM2変異によるNHD家系を精査して、罹患脳の遺伝子発現プロフィールを解明し、新規バイオマーカーを発見し、患者2名よりiPS作成のための皮膚線維芽細胞株を樹立した。さらにNHD剖検脳を免疫組織化学的解析し、TREM2およびシグナル伝達分子SYKの発現分布を解明し、創薬モデル系としてDAP12ノックダウン細胞株を作成した。現在、カイコモデル系を用いて、野生型と変異型のDAP12タンパクを大量に発現・精製中であり、構造解析を行う予定である。NHDにおける脳症発症機構の解明は、Alzheimer病など認知症性疾患の病態解明や治療薬開発につながるものと思われる。

今回はHRC・厚生労働科学ジョイント公開セミナーです。
教員・学部学生・大学院生・一般の方など多数の方の御来聴をお待ちしております。



第21回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2011年7月5日(火) 17:00〜18:00
場 所 講義棟2階201講義室
演 者 東京大学大学院医学系研究科機能生物学細胞分子生理学助教 眞部 寛之
演 題 徐波睡眠時に起こる嗅皮質鋭波の機能解析

要 旨 睡眠中に脳内でどのような情報処理が行われているのかについてはまだよく分かっていないが、記憶の固定化に関与しているという状況証拠が数多く報告されている。エピソード記憶や空間記憶は海馬が重要な働きをしていると考えられており、徐波睡眠中、海馬は睡眠直前に経験した情報のリプレイを行うと共に、大脳新皮質に情報を送り、長期記憶に移行するための情報処理をしていると考えられている。しかし、海馬はすべての記憶に関与しているわけではなく、他の記憶がどのように処理されているのかは不明である。我々は、自由行動下ラットから局所脳波と多数のニューロンのユニット活動をモニターできる系を用いて、徐波睡眠中、大脳辺縁系の一部である嗅皮質において、海馬で見られる特徴的な脳波である鋭波と形やその性質が類似している嗅皮質鋭波を見出した。また、嗅皮質鋭波は嗅皮質の下流である嗅球へと情報を送っていることが分かった。さらに、嗅皮質鋭波を模した電気刺激によって、嗅皮質ニューロンと嗅球顆粒細胞のシナプスで長期増強を誘導できた。これらのことから、徐波睡眠時に起こる嗅皮質鋭波は嗅球の回路再編に寄与していると考えられる。また、嗅皮質鋭波は海馬鋭波とは独立して発生しており、海馬とは異なった記憶に関する情報処理を行っていると推察される。本セミナーでは、脳の情報処理機構の解明のための重要なツールである電気生理学的手法について簡単に紹介しつつ我々の研究成果について解説する。



第20回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2011年3月3(木) 16:00〜17:30
場 所 講義棟2階201講義室
演 者 筑波大学病院薬剤部 准教授 本間 真人
演 題 薬物療法への遺伝子解析情報の活用

要 旨 セミナーの要旨に関しては

薬物療法への遺伝子解析情報の活用

をご参照下さい。







終了分 第19回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年12月15日(水) 16:10〜17:30
場 所 本部棟3階マルチメディア講義室
演 者 北里大学薬学部 教授 長瀬 博
演 題 オピオイド系薬物の研究開発「鎮咳薬の研究開発を中心に」

要 旨 セミナーの要旨に関しては

『オピオイド系薬物の研究開発「鎮咳薬の研究開発を中心に」』

をご参照下さい。



第18回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年10月7日(木) 16:30〜18:00
場 所 本部棟3階マルチメディア講義室
演 者 帝京大学薬学部 教授 橘高 敦史
演 題 ビタミンD受容体リガンド結合領域のwater channelとの相互作用を基盤とする新規ビタミンD誘導体の設計と合成

要 旨 セミナーの要旨に関しては

ビタミンD受容体リガンド結合領域のwater channelとの相互作用を基盤とする新規ビタミンD誘導体の設計と合成

をご参照下さい。



明治薬科大学ハイテクリサーチセンター開設2周年記念講演会
-新時代の創薬研究を開拓する-

ハイテクリサーチセンター研究事業「ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究の拠点形成(5ヶ年計画)」が、平成20年度文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に選定され、本年10月で2周年を迎えます。つきましては、現在創薬研究の第一線でご活躍中の演者をお招きして、2周年記念講演会を開催いたします。

日 時: 2010年9月18日(土) 13:00〜17:00
会 場: 明治薬科大学清瀬キャンパス 
〒204-8588 東京都清瀬市野塩2-522-1

招待講演 14:30〜16:40 (フロネシス2階講義室)
1. アミノリチオ化からカーボリチオ化への真直ぐな一本道
同志社女子大学薬学部創薬有機化学 教授 富岡 清
2. 薬物トランスポーター研究の進歩:From Bench to Bedside
京都薬科大学 学長 乾 賢一

ポスターセッション 13:00〜14:00 (厚生棟食堂)
懇親会 17:00〜19:00 (厚生棟食堂)
参加費無料・事前申込不要。

優秀ポスター発表賞受賞者:中井 啓陽(薬化学)、月岡 直樹(薬品製造化学)、月村 孝宏(分析化学)、坂本 大(微生物)



第17回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年8月4日(水)16:00〜17:00
場 所 講義棟2階201講義室
演 者 産業技術総合研究所・糖鎖医工学研究センター 招へい研究員 地神 芳文
演 題 酵母の糖鎖生物学・糖鎖工学に関する研究 
-GPI生合成系の機能解析および有用糖タンパク質糖鎖の改変を中心に-

要 旨 1. はじめに
酵母は、真核生物に共通する生命現象を分子および細胞レベルで解析する上で有用なモデル生物であるとともに、遺伝子改変などにより産業上有用な糖鎖や糖蛋白質を生産する宿主としても重要な微生物である。一方、タンパク質の多くは何らかの翻訳後修飾を受けており糖鎖付加はその主役である。糖鎖は、その複雑な分岐構造と化学修飾により極めて多様な構造情報を包含し、タンパク質や脂質の発揮する生物機能の重要な部分を担っている。本セミナーでは、酵母の糖鎖生物学の一例として、酵母細胞壁の主要な構成成分の1つであるグリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質の生合成とその生理機能との関連を紹介する。また、酵母による糖鎖工学の一例として、酵母を宿主とする完全長抗体(糖タンパク質)の生産と糖鎖改変に関する研究を紹介する。

2.GPI生合成系の機能解析(GPI脂質リモデリングとその生理的意義)
GPIはタンパク質を細胞表層に結合させている糖脂質であり、酵母のGPI型タンパク質は細胞内のシグナル伝達や細胞間接着のほか、細胞壁の主要な構成成分として細胞形態の維持にも機能している。GPI生合成には24以上の遺伝子が関与しており酵母ではその大半が生育に必須である。しかし、生育に必須でない遺伝子の一つでGPIの側鎖にエタノールアミンリン酸を付加する酵素をコードしているGPI7の生理的役割は不明であった。演者らは、GPI7が、娘細胞が母細胞から分離するのに機能するGPI型グルカナーゼEgt2pが母細胞・娘細胞間の隔壁に適切に局在するのに必須なこと、即ち、細胞分離時の娘細胞における GPI型タンパク質の隔壁への局在化にGpi7pの機能が重要なことを明らかにした。 
一方、GPIアンカー型タンパク質の脂質部分は、他の種類の脂質に置き換わる現象が知られており、これをGPI脂質リモデリングと呼んでいる。脂質リモデリングは、GPIアンカー型タンパク質がマイクロドメイン(脂質ラフト)に局在するために重要なことが示されている。遊離型GPIにおけるPIの脂肪酸組成はsn-2位の脂肪酸がC16やC18の不飽和型であるのに対して、GPIがタンパク質に付加した後では、sn-2位の脂肪酸がC26などの長鎖飽和脂肪酸またはセラミド脂質に変換されている。この一連の変換では、PIの脂肪酸がsn-1位の1カ所のみに付加した「1本足」のリゾPIが生成し、その後、このリゾPIのsn-2位により長い飽和型の脂肪酸が付加される。この後者の反応に関わる遺伝子はGUP1として報告されていたが、この前の段階(PIからリゾPIへの変換)に関与する遺伝子は不明のままであった。演者らは、候補遺伝子PER1の機能解析により、この遺伝子がPIからリゾPIへの変換に関与するGPI-phospholipase A2活性を有することを見出した。また、この遺伝子の欠損や過剰発現によりGPIの脂質改変が異常になると、GPI型タンパク質がマイクロドメインに入れないことを明らかにした。

3.有用糖タンパク質糖鎖の改変(酵母を用いる完全長抗体の生産)
日本のバイオ市場の4分の1を占める糖タンパク質性医薬品は、主にCHOなど動物細胞で生産されているが、より安価に生産できる代替宿主の開発が求められている。本セミナーでは、糖タンパク質糖鎖改変の具体例として、筆者らが実施している「酵母を宿主とする完全長抗体(糖タンパク質)の生産と糖鎖改変の研究」を紹介する。
近年、抗体医薬を用いた医療が注目を集めている。抗体は安全性が高く副作用が少ないうえ抗原に対して高い特異性を有すること、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性に代表されるエフェクター機能を有することがその理由である。動物細胞を宿主とする生産が主流であるが、スケールアップが困難で細胞の育種や培養が長期に及びウィルスの感染防御が必須であるなどの課題を抱えている。また、抗体医薬は投与量が多く慢性疾患への適用も頻繁であるため、より安価な組換え抗体の生産系の開発が望まれている。演者らは、企業と共同で、酵母によるヒト適応型抗体の生産を検討している。これまで抗体の機能断片であるFcやscFv分子を酵母で発現または高生産させた例はあるが、重鎖と軽鎖の4量体からなる抗体全長分子を大量に分泌生産した報告や抗体の生産性向上を試みた報告は極めて少ない。
まず、メタノール資化酵母Ogataea minuta で異種タンパク質の発現系を構築したのち、酵母の糖外鎖の合成に作用するOCH1遺伝子を欠損した株を作成し、さらにカビ由来のα-1,2マンノシダーゼ遺伝子を導入してα-1,2結合したマンノースを消化することで、高マンノース型(Man5GlcNAc2)糖鎖の生産に成功した。次に、抗体の生産性を向上させるため、酵母の内在性タンパク質分解活性を抑制することを試みた結果、液胞プロテアーゼをコードするPEP4PRB1の両遺伝子欠損株で細胞内の抗体蓄積量が増加することを見出した。さらに、抗体の重鎖は酸性プロテアーゼYps1pで分解を受けることを見出し、YPS1遺伝子欠損株を作成し、その発現抗体分子を解析した結果、重鎖の限定分解が顕著に抑制できることを示した。
一方、O. minuta酵母で分泌された抗体には酵母特有のO型糖鎖が付加される。疎水性の高い抗体の重鎖と軽鎖(特に会合面)は、酵母の小胞体(ER)内で凝集しやすいためにO型糖鎖の付加が起こると思われる。一方、動物細胞ではERにて重鎖と軽鎖が会合して安定な分子となって効率よく分泌されることから、このO型糖鎖の付加抑制により酵母による抗体の分泌生産を増大できる可能性がある。そこで、O型マンノース付加酵素の活性阻害剤を添加して抗体へのO型糖鎖の付加抑制を試みた結果、O型糖鎖の付加が抑制され、抗体の分泌生産性も向上した。



第16回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年7月8日(木) 16:30〜18:00
場 所 本部棟3階マルチメディア講義室
演 者 昭和薬科大学薬化学 教授 田村 修
演 題 Grandisine類およびTubulysin類の全合成

要 旨 セミナーの要旨に関しては

Grandisine類およびTubulysin類の全合成

をご参照下さい。



第15回ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年7月1日(木) 17:30〜19:00
場 所 講義棟2階205教室
演 者 東京大学先端科学技術センター代謝医学教授 酒井 寿郎
演 題 生活習慣病:分子遺伝学からエピゲノミックスへ

要 旨 メタボリックシンドロームや動脈硬化など多因子の疾患の解明は21世紀の生物医学の大きな課題となっている。肥満を基盤としたメタボリックシンドロームでは、生理機能の破綻した脂肪細胞が原因で糖尿病、動脈硬化などが発症するというメカニズムが注目されており、脂肪細胞の分化に関わる動作原理の解明が求められている。近年、細胞の分化に於いては遺伝子発現や遺伝子配列情報に加え、ヒストン修飾によるクロマチンの変化と遺伝子発現(後天的ゲノム修飾、エピゲノム)への理解も重要となっている。エピゲノムとは、DNA塩基配列以外のDNAのメチル化とヒストン修飾で維持・伝達される遺伝情報である。エピゲノムは受精卵でリセットされ、生まれた後に環境により変えられ、修飾の違いにより、同一のゲノムを有しながらも200種類の異なった細胞に分化する。環境の変化によって修飾される遺伝情報がエピゲノムである。生活習慣はエピゲノムに記憶され、生活習慣病・脂質代謝異常症発症の鍵となることが示唆されつつある。本講演では分子遺伝学から最近のエピゲノミックスにいたる生活習慣病研究について概説する。



第8回 若手特別講演

日 時 2010年3月10日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 バイオインフォマティクス 助教 天竺桂 弘子
演 題 パーキンソン病原因遺伝子のカイコモデル系を利用した機能解析

要 旨 カイコ(Bombyx mori)は、2006年に全ゲノム解読が終了し、ヒト疾患関連遺伝子オルソログおよびその変異体を多数有することが明らかとなっている。カイコ変異体は、哺乳類モデル系とは異なるユニークな表現型を有していることが多く、カイコ変異体モデル系を用いて遺伝子の機能解析をすることにより、哺乳類では見出せなかった新規機能の発見に繋がる可能性がある。当教室ではヒト神経変性疾患原因遺伝子のカイコオルソログを網羅的にクローニングし、その機能を解析するためのカイコモデル系の樹立を目指している。本セミナーでは、パーキンソン病(Parkinson disease;PD)原因遺伝子DJ-1(PARK7)のカイコオルソログのクローニングおよび発現・抗酸化能の解析を行ったので紹介する。



第14回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年3月3日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 微生物学 教授 池田 玲子
演 題 病原真菌のアポトーシス様細胞死を誘導する細菌表層物質の解明と相互作用解析

要 旨 微生物の定着や病原因子の発現には様々な環境因子が影響を与えるが、そのひとつとして他菌種との相互作用がある。当教室では、重篤な髄膜炎を引き起こす病原真菌Cryptococcus neoformansと黄色ブドウ球菌との相互作用に着目した結果、黄色ブドウ球菌がC. neoformansに接着し、ミトコンドリアを介するアポトーシス様胞死を誘導する現象を見いだした。この接着と死滅の機序解明に取組み、C. neoformansの莢膜多糖類主成分グルクロノキシロマンナンの主鎖α-(1→3)マンナンの3残基以上と黄色ブドウ球菌の解糖系酵素トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)が菌種間相互作用に関与していることを報告した。精製TPIとマンノオリゴ糖との相互作用解析から、TPIはオリゴ糖に対し親和性の異なる結合部位を2つ以上有することが示された。さらに、TPIは黄色ブドウ球菌表層において、解糖系酵素以外の病原因子としての役割も担う可能性が示された。



第13回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年2月15日(月) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 薬物体内動態学 教授 吉田 久博
演 題 腎尿細管上皮細胞における薬物移行特性と代謝

要 旨 腎は薬物排泄臓器として広く知られているが、代謝臓器としての役割についてはあまり知られていない。当研究室では、腎尿細管上皮細胞による経細胞薬物輸送実験を行い、腎における薬物挙動の解明に努めてきた。その結果、バルプロ酸(VPA)は主にモノカルボン酸輸送系を介して輸送され、細胞内でグルクロン酸抱合体が生成されることを明らかにした。またNSAIDであるナプロキセン(NAP)について精査した結果、モノカルボン酸輸送系および有機アニオン輸送系を介して輸送され、細胞内でグルクロン酸抱合体が生成された後、特殊輸送系を介して管腔側および血漿膜側に輸送されることを明らかにした。さらに薬物相互作用について精査した結果、NSAIDの併用により細胞内への移行性が抑制されること、フラボノイドの併用によりグルクロン酸抱合が抑制されることを認めた。セミナーではこれらの知見について紹介する。



第12回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2010年1月22日(金) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 薬効学 教授 庄司 優
演 題 心血管系疾患におけるバゾプレシン研究の進展

要 旨 バゾプレシンは、視床下部で転写され下垂体後葉から分泌される9アミノ酸残基のペプチドホルモンである。バゾプレシンは尿崩症とSIADHなどが深く関与る疾患であるが、これら内分泌系のみならず、血管平滑筋収縮、圧反射、血小板凝集、記憶、情動、ストレス等の幅広い生命活動に関わっている。臨床的には循環におけるバゾプレシンの病態的意義について、最近注目が集まっている。うっ血性心不全ではBNP、ノルエピネフリンなど神経内分泌系の亢進する症例の予後は不良である。血漿バゾプレシンも心不全の重症度に応じて上昇し、非ペプチド系バゾプレシン受容体拮抗薬が心不全の新たな治療薬として期待されている。一方 、バゾプレシンV1a受容体ノックアウトマウスの開発から循環調節におけるバゾプレシンの重要性が再認識されたが、我々は非肥満高血圧における V1a受容体遺伝子多型の意義について報告した。また、V1a受容体遺伝子多型と血小板におけるV1a受容体遺伝子発現や血小板活性化作用との関連、血管内皮機能調節におけるバゾプレシンの役割についても興味深い。



第7回 若手特別講演

日 時 2010年1月20日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 生薬学 助教 高取 薫
演 題 地衣二次代謝産物の化学と生物活性

要 旨 地衣は、菌類と藻類の共生体であり、地衣成分と呼ばれる特有の二次代謝産物を生産する。朝比奈泰彦、柴田承二らは、1950年代までに地衣成分に関する研究を活発に行い、ジベンゾフラン、デプシド、デプシドン、ステロイド、トリテルペンなど数多くの化合物の構造を明らかにしている。その後も継続的に多くの地衣成分が報告されている。当研究室では薬用資源探索の一環として、天然地衣体からの成分探索を行っているが、アルゼンチンのフェゴ島において皮膚改善に用いられているProtousnea属地衣からはチロシナーゼ阻害活性を有する化合物を単離した。また、近年、地衣菌の分離培養法の改良と大量培養法が開発されたことから、演者は、培養地衣菌の二次代謝産物の単離、構造決定を行い、天然の地衣体には含有されない新規化合物を見出している。今回はこれら化合物と生物活性について紹介する。







終了分 第11回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年12月10日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 機能分子化学 教授 石井 啓太郎
演 題 小員環化合物の光反応における反応制御

要 旨 光化学は、励起状態から起こり物理学または化学現象を解明する学問領域である。光の技術は太陽光発電等、多くの分野で利用,開発が盛んであるが、薬学系においても、GFPに代表される蛍光たんぱく質、人工蛍光プローブによる分子イメージング、光化学療法等で研究開発が進んでいる。また、光反応は通常とは異なる生成物を与えることから、有機合成にも利用されてきた。この反応は複雑になる傾向にあり、特定の生成物を効率よく得るためその制御法が課題となる。本セミナーでは、当研究室行ってきた二重結合が共役した小員環(オキシラン,アジリジン)をもつ化合物を中心に、三重項増感反応、光励起電子移動反応,置換基による反応の制御について基礎の原理から紹介する。



第10回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年11月19日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 薬品物理化学 教授 高波 利克
演 題 遷移金属触媒反応およびSNAr反応を用いるポルフィリン環への効率的官能基導入

要 旨 ポルフィリンやその誘導体は、P-450やヘモグロビンなどの活性中心として自然界に広く存在する化合物である。また、近年では、電子移動触媒、医薬品、分子認識や分子センシングなど様々な機能を発揮するポルフィリン化合物も数多く報告されている。これらのポルフィリン化合物を基盤とする機能性分子を構築する上で、ポルフィリン環上に他の置換基に容易に変換可能な官能基を持つ合成中間体の開発は極めて重要である。本セミナーでは、当研究室で開発した遷移金属触媒反応およびSNAr反応を用いるポルフィリン環へのアミノ基、シアノ基、およびホルミル基などの効率的導入法について紹介する。



第6回 若手特別講演

日 時 2009年11月4日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 臨床薬理学 助教 野澤 玲子
演 題 2型糖尿病ラット尾動脈アドレナリン作動性神経からの内因性ノルエピネフリン遊離作用について

要 旨 糖尿病性神経障害は糖尿病患者における最も重大な合併症のひとつである。特に自律神経障害は、発汗異常、起立性低血圧、消化管の運動障害(便秘、下痢)、心臓、瞳孔及び膀胱の機能障害、勃起障害などを起こし、しばしば日常生活を大きく損なわせる。現在までの末梢神経障害に関する研究では、streptozotocin投与などの薬物によって誘導される1型糖尿病モデル動物を用いた研究が盛んにされてきたが、2型糖尿病モデルラットにおける詳細な検討はほとんどなされていない。Goto-Kakizaki (GK)ラットは、非肥満、インスリン分泌不全、インスリン抵抗性という特徴を併せ持つ日本人の2型糖尿病に近いモデル動物である。そこで本究では、糖尿病病態時における交感神経機能について検討する目的で、GKラットの尾動脈交感神経からの内因性ノルエピネフリン遊離作用について検討した。



明治薬科大学ハイテクリサーチセンター1周年記念講演会
「難病に対する創薬研究の新展開」

ハイテクリサーチセンター研究事業「ゲノム情報に基づく合理的な創薬研究の拠点形成(5ヶ年計画)」が、平成20年度文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に選定され、本年10月で1周年を迎えます。つきましては、現在難病研究の第一線でご活躍中の先生方3名をお招きして、1周年記念講演会を開催いたします。

日 時:2009年10月17日(土) 13:00〜16:00
会 場:フロネシス1階講義室

1. 神経難病克服に向けた次世代組換え医薬品の開発と治療へのアプローチ
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・薬科学教育部附属医薬創製教育研究センター・創薬生命工学分野教授 伊藤 孝司

要旨:テイ-サックス病とザンドホッフ病は、リソソーム性β-ヘキソサミニダーゼA(HexA)の欠損症で、脳内GM2ガングリオシドの過剰蓄積と中枢神経症状を伴って発症するリソソーム病(神経難病の一種)である。近年、末梢症状を示す一部のリソソーム病に対し、哺乳類細胞で生産した組換えヒトリソソーム酵素製剤を静脈内投与し、酵素に付加される糖鎖と標的細胞表面レセプターとの結合・取り込みに基く酵素補充療法が実用化されている。しかし血液脳関門の存在のため、現行法では神経症状に対する治療効果は期待できない。最近演者らは、(独)産総研・糖鎖医工学研究センターの地神・千葉両博士ら、明治薬科大の櫻庭教授らとの共同で、メタノール資化酵母変異株で発現・精製した高機能型組換えヒトHexAをザンドホッフ病モデルマウスの脳室内へ投与し、運動機能障害を改善するとともに寿命を延長させることに成功した。これらの知見は、脳内糖鎖レセプターを分子標的とする高機能型リソソーム酵素がリソソーム病に対する次世代型組換え医薬品として有用であることを強く示唆している。

2. 認知症臨床における薬物療法
聖マリアンナ医科大学神経精神科学教授 山口 登

要旨:認知症は、老年期を代表する神経精神疾患であり、人口構成の高齢化とともに更なる増加が予想されている。そして、その対応について社会的関心が増大している。
今回の講演では、日常臨床の立場から、認知症をきたす代表的な原因疾患と臨床症状、薬物療法の効果と限界そして問題点などについて講演する。

[ 主な講演内容 ]
1. 認知症の症状:中核症状と周辺症状
2. 認知症をきたす代表的原因疾患(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症)と症状の特徴
3. 薬物療法の効果と限界
4. 向精神薬投与上の問題点

3. マルチテンプレート創薬とドラマタイプ創薬
東京大学分子細胞生物学研究所
分子構造・創生大部門・生体有機化学研究分野教授 橋本 祐一

要旨:創薬研究において重要なイニシャルステップは生物活性物質の創製、探索であろう。これはケミカルジェネティクスにおいても同様と考える。創薬探索研究においては、化合物ライブラリーを用いたハイスループットスクリーニング(HTS)によるシーズ探索が主要な地位を占めている。その成否の鍵は保有するライブラリーの質が握るところが大きいであろう。本研究者らはこの数年、生物活性化合物の創製手法として「マルチテンプレート手法」と「ドラマタイプ手法」を発信してきた。前者は、標的タンパク質を剛体と見なし、多種多様な標的タンパク質に対して共通に結合しうる小分子骨格をスキャフォールドに設定し、これを構造展開することによって、各々の標的タンパク質に対する特異性を付与する手法である。後者は、特定タンパク質の動的な構造・機能変化(フォールディングや他因子との相互作用、局在位置など)を標的事象にした生物活性分子の創製法である。

マルチテンプレート手法
ヒト体内には、5万〜7万種のタンパク質が存在すると言われる。しかし、それらのドメイン構造は、フォールド構造に着目すると、わずか1000種程度に限られるとされている。従って、ある特定のフォールド構造に適合する小分子構造をスキャフォールドに設定すれば、多種多様なタンパク質に対して親和性を有する化合物が創製できることになる。設定するスキャフォールドが構造展開に適し、その標的フォールド構造が多様なタンパク質において機能制御を担い、かつ当該タンパク質が薬物受容体たり得るものである時、設定したスキャフォールドを「マルチテンプレート」と呼んでいる。2005年に上市に成功した白血病治療薬タミバロテンの創製は、本法の一つの成功例と捉えている。本講演の前半では、
(1)生理活性ステロイドに学ぶマルチテンプレート(核内レセプターリガンドの創製)
(2)マルチターゲットドラッグ「サリドマイド」のマルチテンプレートとしての活用
について、実例を挙げながら概説したい。

ドラマタイプ手法
小分子の結合によるタンパク質の機能制御は、当該タンパク質のコンフォメーション変化を伴う場合が多い。この構造変化はしばしば極めてドラスティックであり、ドメインの正常又は異常なフォールディングを誘導する。タンパク質のフォールディング制御は時に、当該タンパク質の寿命や細胞内局在の制御に直結する。タンパク質のフォールディング異常が原因とされる疾病は多く、小分子によるフォールディング異常の修正は当該疾病の治療薬開発に直結しうる。本講演の後半では、
(1)タンパク質部分構造のフォールディングに着目した、核内受容体アンタゴニストの創製
(2)異常フォールディングを正常化するリガンドによるタンパク質トラフィッキング異常の修正
(3)自己ユビキチン化の制御とその応用展開
についての概説を予定したい。



第9回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年9月9日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 薬品製造化学 教授 川崎 知己
演 題 ピロリジノ[2,3-b]インドリン化合物の効率的合成法と生物活性試験

要 旨 ピロリジノ[2,3-b]インドリン構造は、フィゾスチグミンに代表される多くの生物活性天然物の基本骨格を構成している。このため、ピロリジノインドリン骨格を含む化合物は、医薬品のシードとして興味深く、この合成への取り組みが数多くなされてきた。このなかで、この骨格3a位に炭素置換基の導入とともに第四級炭素を立体選択的に構築することが重要な研究課題であった。我々は、独自に開拓してきた方法論でこれら課題を達成し、3a位にプレニルユニットをもつピロリジノインドリン天然物シュードフリナミノールおよびフルストラミン類などの全合成を行い、さらにフィゾスチグミン誘導体の合成に展開し、この誘導体の3a位置換基と抗コリンエステラーゼ活性との関連性を検討してきた。本セミナーでは、当教室の大学院生と4年生が努力して得た研究成果について紹介する。



第5回 若手特別講演

日 時 2009年7月17日(金) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 病態生理学 助教 田中 靖子
演 題 アクアポリン11の細胞生物学: 細胞内水輸送と細胞内機能

要 旨 生物の生命維持において、体内の水分調節は重要である。細胞間での水の移動に関与する媒体のひとつに水チャネル(アクアポリン; AQP)とよばれる6回膜貫通型タンパク質がある。13種あるAQPの多くのタイプが細胞膜に存在するが、AQP11 に関しては、その分子構造が他と異なり、細胞膜ではなく細胞内オルガネラに発現していることがわかっている。しかし、他のアクアポリンに比べ機能解析がしにくく詳細については不明な点が多い。現在、マウスの腎臓を用いたマイクロアレイ解析より、野生型とAQP11欠損マウスでは、小胞体に関連するタンパク質の異化反応、イオン輸送、細胞代謝に関与する遺伝子等に変化があることがわかっている。これらをもとに、当研究室ではAQP11が細胞内のホメオスタシスにどのように制御しているのか明らかにすることを試みている。本セミナーでは、AQP11が関与する細胞内イオン環境の変化を検討するための取り組みについて紹介する。



第8回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年7月16日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 衛生化学 講師 小笠原 裕樹
演 題 有害金属曝露による酸化ストレス応答と発癌機序

要 旨 カドミウム(Cd)の毒性としては、その骨代謝への影響や、腎機能障害について長い研究の歴史があるが、その発癌機序については、ニッケルやヒ素化合物などと共に、古くから指摘されているにも拘らず、その詳細は未だ不明である。
一方、近年、Cdがレドックス制御系の主要な酵素であるグルタレドキシンを強く害することから、Cdにより細胞内酸化還元バランスが撹乱されることが危惧されている。これまでCdによる酸化ストレス応答やその解毒代謝に関する研究は、主に肝臓や腎臓の組織及び細胞を用いて行われてきたが、血球系組織に対する研究は少なく、不明瞭な点が多い。そこで、本研究では、酸化ストレス応答に焦点をあて、Cdの毒性発現機序の解明を目的として検討を行い、酸化ストレス応答性配を有するタンパク質の遺伝子レベル及びタンパク質レベルでの変化を見出したので、その知見を紹介すると伴に、近年注目されるNrf2-Keap1系による発癌制御の分子ネットワークについても概説する。



第7回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年6月2日(火) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 有機合成化学 教授 長岡 博人
演 題 ヨウ化サマリウムの誘起する新しい連続反応の開発とその生理活性分子合成への応用

要 旨 抗腫瘍活性などの生理活性を有する有機化合物の中には、5員環や6員環を部分構造とし、多様な官能基が複雑に組み込まれたものが数多く存在する。複数の官能基を備えたシクロペンタノンやシクロヘキサノン誘導体の効果的な新合成法は、こうした有用分子の供給手段を一変させる可能性をもつ。
我々は最近α,β−不飽和エステル等から発生できる Sm エノラートが分子内のエステルで捕捉されることを見出し、これに着目した4つの新しい連続環化反応を開発した。第一は、鎖状化合物からの双環性シクロペンタノン誘導体の1ステップ合成法であり、第二は、新しいタイプの環拡大法によるシクロペンタノン環の形成である。
第三は、光学活性シクロペンタノン誘導体の新しい調製法であり、第四は、還元的環化−Dieckmann縮合−γ−ラクトン化を連続的に行う多環性化合物の一挙合成法である。本セミナーでは、これらの反応を見出すまでの経緯と、これらの新反応の生理活性分子合成における威力について紹介する。



第4回 若手特別講演

日 時 2009年5月14日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 機能分子化学 講師 野地 匡裕
演 題 カチオン中間体へのジアステレオ選択的反応と、生成物の立体 配置推定におけるX-線結晶解析、NMR、分子軌道計算の活用

要 旨 カルボカチオンは有機反応における最も基本的な反応活性種であり、様々な合成反応に中間体として存在する。カルボカチオンの求電子試薬としての高い反応性は、時として精密な反応制御を困難にする場合がある。特に求核試薬との反応における立体制御は困難な課題の一つである。近年我々は、金属トリフラートを用いたカルボカチオン生成反応と反応制御を検討してきた。その結果、プロキラルな2級ベンジルカチオンに対する非対称ジカルボニル化合物の反応が、高いジアステレオ選択性で進行することを見出している。これらの生成物のいくつかは、X-線結晶解析によりジアステレオマーの立体配置を決定することが出来た。さらにその過程で、生成物の安定配座とNMR化学シフト値に特徴的な性質があることを見出した。これを利用して結晶化しない誘導体に対しても立体配置の推定を行うことが出来たので紹介したい。



第6回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年5月7日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 生薬学 准教授 小山 清隆
演 題 天然物からの血管新生阻害活性物質の探索

要 旨 最近の抗がん剤開発において、分子標的治療薬が活発に研究されています。その中で、腫瘍血管新生をターゲットとする薬も開発され始めています。固形腫瘍はある大きさ以上に成長する場合は、既存の血管から腫瘍自身に血管を構築し(腫瘍血管新生)、そこから栄養や酸素を取り込んで成長しなければなりません。つまり、この血管新生を阻害するということは、腫瘍を「兵糧攻め」にして、成長できないようにします。我が国では、2007年に血管新生において血管内皮細胞の増殖で主たる役割を担っているVEGF(vascular endotherial growth factor:血管内皮長因子)の抗体であるBevacizumab(Avastin®)が承認 されました。また、腫瘍血管新生には各種チロシンキナーゼが関与していることから、2008年には低分子でマルキナーゼ阻害薬であるSunitinib(Sutent®)とSorafenib (Nexabar®)が承認されています。この2種の阻害薬の構造は含窒素芳香族化合物という点で共通しており、当研究室では今までの阻害薬とはまったく異なった骨格を有する阻害薬開発を目的に、天然物から血管新生阻害活性化合物の探索を行なっています。本セミナーでは、今まで当研究室が天然物から単離した血管新生阻害活性化合物について紹介します。また、HRCでは学内共同研究の推進も目的の一つなので、当研究室が各種天然物から単離し構造を明らかにした化合物についても紹介します。



第5回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年4月16日(木) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 薬化学 教授 齋藤 直樹
演 題 抗腫瘍活性イソキノリン海洋天然物の化学的研究

要 旨 新しい癌の化学療法剤の創薬シードとして海洋生物が生産する二次代謝物に着目し、その探索研究が世界的に展開されています。さて、1960 年代後半にカリブ海に生息する群体ホヤEcteinascidia turbinataのメタノールエキスが実験腫瘍細胞に対して強力な細胞毒性を示すことが見出されてから、米国では、その活性本体の単離・構造決定を目的とした探索研究が精力的に展開されました。
その結果、90 年、Rinehart 教授(イリノイ大学)は極微量活性成分であるエクチナサイジン743(Et 743)を報告しました。本品はユニークな基本骨格を有するイソキノリン系化合物であり、進行した軟部組織肉腫や固形癌の治療に対して効果が期待できる抗癌剤として注目されています。その開発はファルマ・マール社(スペイン)により行われ、2007 年に欧米において承認され、トラベクチンとして使用されています。我々はチュラロンコーン大学薬学部(タイ)の協力のもと、同国に生息する海洋生物の二次代謝産物の探索研究を実施し、プーケット島沿岸に生息する群体ホヤ(E. thurstoni)がEt 743 を、さらに、シーシャン島沿岸に生息する青色海綿(Xe tospongia sp.)からレニエラマイシンをそれぞれ生産することを見出しました。後者はEt 743 の基本骨格を保持した化合物であり、Et 743 に匹敵する抗癌活性を有しいます。そこで、これら天然物を新たな創薬シードと位置付け、原海洋生物の生態調査、成分検索、化学変換など創薬基礎研究を開始しました。本セミナーでは、研究の目的・背景、これまでの経緯に最近の成果を交えて紹介します。



第4回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年3月16日(月) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201室
演 者 明治薬科大学 病態生理学 教授 石橋 賢一
演 題 多発性のう胞腎の薬物治療による進行抑制

要 旨 多発性のう胞腎は剖検の350〜780人に1人の割合でみられる頻度の高い疾患である。透析患者に占める割合も3.3%であり優性遺伝をすることから今後の増加が懸念される。我々は新規水チャネルAQP11ノックアウトマウスが外にも多発性のう胞腎で生後1ヶ月までに死ぬことを見出した。そこで水チャネルと嚢胞形成のかかわりを研究している。とくにAQP11欠損では嚢胞形成に先立って細胞質に空胞が多数形成される特徴がある。この空胞形成の機構としてアポトーシス亢進とエンドサイトーシス障害の2面から研究をすすめている。また空胞形成後に嚢胞ができる過程には細胞分化障害や細胞増殖異常が関与している可能性がある。実際,ラパマイシンの投与で嚢胞形成が抑制されることも確認している。このモデルで遺伝子や蛋白発現を網羅的に調べることで鍵になる分子を同定し、嚢胞腎の新たな治療法開発につなげるとともに、アクアポリンの新たな役割も明らかにしたい。



第3回 若手特別講演

日 時 2009年3月4日(水) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201教室
演 者 明治薬科大学 分析化学 講師 鈴木 俊宏
演 題 抗癌剤感受性既定分子の探索:シスプラチンを例に

要 旨 近年、抗癌剤は分子標的治療薬が注目され、癌細胞特異的に発現している分子をターゲットとした抗腫瘍活性により副作用の軽減や、より効率的な薬物療法を目指した創薬がなされている。しかし、実際の臨床においては想定したメカニズムだけでは説明できない感受性の違いや副作用などが出現しており、このような機構を解析することは効率的な化学療法を行う上でとても重要である。その基礎的アプローチとして耐性細胞株を樹立し、その変異株のキャラクタライズによる感受性を規定する因子を同定することで機構解析を試みている。本セミナーでは演者がこれまで行ってきたシスプラチンに対する耐性株を用いた検討を例に、抗癌剤感受性を左右する分子の探索方法について紹介する。



第3回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年2月18日(水) 17:30-18:30
場 所 講義棟2階201室
演 者 明治薬科大学 薬理学 助教 小川 泰弘
演 題 発生的に細胞系譜をこえたTransdifferentiationの可能性とそのメカニズム:胎生期由来培養神経幹細胞からの管腔形成能を有する血管を構成する平滑筋及び内皮様細胞への分化のメカニズムを探る

要 旨 大脳を構成する細胞は、神経伝達を担うニューロン、ニューロンへの栄養を供給しシナプスでの伝達物質を除去するアストロサイト、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイト、マクロファージ様の作用を有するミクログリアが主に存在する。これらのうち、ニューロン、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトは神経上皮に由来するラジアルグリア細胞から産生されることが解明されている。現在より17年前、マウス胎生期の脳よりラジアルグリア細胞を調整し培養することで、ニューロンやアストロサイト・オリゴデンドロサイトに分化誘導可能な神経幹細胞を培養することが可能になった。これを用いることで神経系発生のメカニズムや分化誘導因子、幹細胞の維持などを解明することが可能になっている。我々はこの培養神経幹細胞より、上述の細胞系譜の集団とは異なると考えられるそれぞれ機能的な平滑筋細胞及び内皮細胞が分化誘導できることを解明してきた。しかしながら、「ではどのようなメカニズムで神経幹細胞から平滑筋及び内皮細胞へ分化できるのか」という疑問に対し、今まで答えることができなかった。そこで、我々は主に分化に係るシグナル伝達に着目してこの疑問を解明することを試みている。
■■人類は万能細胞と呼ばれるES細胞やiPS細胞を手にすることができ、これらの移植医療等、臨床応用が大変期待されている。このとき、目的の細胞へと高効率で分化誘導し、目的外の細胞への分化は抑制することが非常に重要となる。そのため、本研究課題のような多彩な分化のメカニズムを解明することは非常に有意義なものと考えられる。



第2回 若手特別講演

日 時 2009年1月23日(金) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201室
演 者 明治薬科大学 薬品製造化学 講師 樋口 和宏
演 題 インテグリンを標的とした非ペプチド性RGDミメティクス

要 旨 インテグリンは膜糖蛋白質で、細胞の主要な接着レセプターである。α鎖とβ鎖からなるヘテロダイマーから成り、その組合せにより現在までに少なくとも24種類が知られている。なかでも血小板膜上のインテグリンαUbβ3(GPUb/Va受容体)はフィブリノーゲンのアルギニン (R)、グリシン (G)、アスパラギン酸 (D) からなるRGD配列を認識する。一方、血小板の凝集は、血小板どうしがフィブリノーゲンに存在する2つのRGD配列を介して架橋されることにより起こる。このことから、RGD配列を模した化合物はGPUb/Va受容体のアンタゴニストになる可能性を秘めており、血栓症治療薬の創薬におけるターゲット化合物として期待されている。その一例としてRGD配列を有する環状ペプチド化合物であるG4120 (1) があり、高い血小板凝集阻害活性を示すことが知られている(figure)。我々は1 のRGD配列近傍の嵩がペルヒドロフェナントレン骨格と類似していることに着目し、このRGD配列をもつ非ペプチドミメティクスを創製した。すなわち、ペルヒドロフェナントレンにアスパラギン酸残基のカルボキシル基とアルギニン残基のグアニジノ基、それぞれを相当する部位に持つ標的化合物2, 3 を設計・合成を行った(figure)




第2回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2009年1月20日(火) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階201室
演 者 明治薬科大学 分析化学 教授 櫻庭 均
演 題 ゲノムおよび立体構造情報に基づくリソソーム病の分子病態解明と新規治療法の開発―ファブリー病をモデルとして

要 旨 リソソーム病は、細胞内のリソソームに存在する加水分解酵素の活性低下により、本来その酵素が分解すべき基質がリソソーム内に蓄積して起こる遺伝病です。ヒトでは、約40種類のリソソーム病が知られており、小児科や内科などの臨床分野で重要な疾患群です。これらの疾患は、これまで診断が難しく、長い間、根本的治療法がありませんでした。近年、遺伝子工学を利用して哺乳類の細胞で生産した組み換え酵素を、1-2週間に1回の割合で血管内に投与する「酵素補充法」が導入され、患者さんやその御家族にとって大きな福音となりました。しかし、現行の酵素薬は、極めて高価で、血中から細胞内に取り込まれ難いこと、その生産には通常ウシ胎児血清を必要とするため、寄生生物混入の危険性があること、症状が進行してから治療が行われても効果がみられないことなど多くの問題が残っています。こうした問題を解決し、優れた診断法と治療法を確立するためには、疾患を分子レベルで理解することが必須です。
■■私たちは、リソソーム病の中で最も発生頻度が高いファブリー病(α‐ガラクトシダーゼ欠損症)をモデルとして、その遺伝子および蛋白質構造を解析しました。そして、その情報を基に、病態発生機構を明らかにしました。また、特殊酵母の発現系などを利用して、細胞内取り込み効率が高い酵素を、無血清の条件下で安く生産する方法を開発しました。こうして創られた新規酵素は、ファブリー病のモデルマウスの障害臓器に取り込まれて蓄積していた基質を分解しました。私たちは、さらに早期診断のために、微量の臨床試料を用いてファブリー病のハイリスク・スクリーニングを行うシステムを作りました。今回のセミナーでは、リソソーム病研究の最前線と診断・治療法の開発に向けた私たちの取り組みについて紹介します。







終了分 第1回 ハイテクリサーチセンター公開セミナー

日 時 2008年12月18日(木) 18:30〜19:30
場 所 講義棟2階203室
演 者 明治薬科大学 バイオインフォマティクス 教授 佐藤 準一
演 題 アルツハイマー病の脳分子病態を探る

要 旨 【背景】アルツハイマー病(Alzheimer disease; AD)は、中高年期に発症し、進行性認知機能障害を呈する神経変性疾患で、未だ特効薬がない難病である。病理学的に、大脳皮質や海馬におけるアミロイドベータ(Aβ)の蓄積と異常リン酸化タウを含む神経原線維変化の出現を主徴とし、広汎な神経細胞死を認める。若年発症の家族性ADは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)やプレセニリン(PSEN1, PSEN2)の遺伝子変異を認める。一方、大多数のADは遺伝子変異がなく孤発性であり、何らかの機序により、まず最初にAβ産生増大・分解低下・凝集促進を来して脳に大量のAβが蓄積し、引き続きタウの異常リン酸化と神経細胞死が誘導される(アミロイドカスケード仮説)。Aquaporin(AQP)は水チャネルタンパク質ファミリーで哺乳類では13種類同定され、中枢神経系ではAQP1, AQP4, AQP9の発現を認める。正常脳ではAQP1はchoroid plexus epithelium, AQP4はblood-brain barrier, blood-CSF barrierを形成するastrocyte (AS) foot processとpia materに分布している。AQP1はH2OのほかNOやcGMP-gated cationのチャネルとしても働き、細胞移動時の形態変化制御にも関与している。われわれは炎症性脱髄疾患である多発性硬化症におけるAQP1の役割を免疫組織化学的に解析中に、偶然にもコントロールとして用いたAD脳のASにおけるAQP1の高発現を発見した。
【方法】AD(n = 18)および他の神経変性疾患(n = 16; Parkinson disease 3, ALS 4, multiple system atrophy 2, myotonic dystrophy 4, MELAS 1, SBMA 1, schizophrenia 1)の前頭葉運動野・海馬のパラフィン切片をautoclave処理後、抗Aβ, AQP1, GFAP抗体で二重染色した。顕微鏡観察下(40X, 20視野), 斑状スポット(直径?50 mm)を(1)AQPとAβが重層(type 1: AQP+Aβ+), (2)AQP単独(type 2: AQP+Aβ-), (3)Aβ単独(type 3: AQP-Aβ+)の3群に分類した。
【結果】全ての脳組織で、AQP1は主として皮質に分布するGFAP陽性multipolar fibrillary ASに発現していた。AD脳では他疾患と比較してtype 1 ASの数が有意に多かった。AQP1は培養ヒトASの細胞膜上に発現していた。免疫沈降法によりAQP1 N-termninal halfとAβ-AICD fragmentの結合を確認した。またtissue protein overlay法により、AQP1とAβの結合をin situで確認出来た。
【考 察】AD脳では何らかの慢性炎症刺激により、皮質の特異なASでAQP1の発現が誘導されている。AQP1は(1)慢性炎症時の水バランスの調節系(a regulator for water homeostasis)、(2)慢性炎症に対する防御機構(a scavenger for NO, free radical)、(3) Aβ産生に対する制御系(a positive or negative regulator for Aβ production)として働く可能性が考えられる。
【文献】Misawa T, et al. Close association of water channel AQP1 with amyloid-β deposition in Alzheimer disease brains. Acta Neuropathologica 116(3): 247-60, 2008



第1回 若手特別講演

日 時 2008年12月5日(金) 17:30〜18:30
場 所 講義棟2階202教室
演 者 明治薬科大学 薬理学 助教 小川 泰弘
演 題 Node of RanvierとAxon Initial Segmentに局在する足場タンパク質の同定と役割

要 旨 ニューロンは軸索を介して情報のアウトプットを行う。この情報伝達を調節する部位はAxon Initial Segment(AIS)であり、ナトリウムチャネル(Nav)が局在している。また軸索はグリア細胞の細胞膜が幾重にも巻いた構造(ミエリン)で保護されており、Node of Ranvierと呼ばれるミエリンのギャップにNavが局在化して跳躍伝導と呼ばれる効率的な伝達がなされている。さらに、Paranodeを挟むようにしてKv1チャネルが局在しているが、この領域をJuxtaparanodeと呼ぶ。われわれはparanode膜のタンパク質を精製・同定し、膜タンパクの足場タンパク質αII-spectrin, βII-spectrinがjuxtapar odeとparanodeに,ankyrinBがparanodeに局在していることを見出した。これらのタンパク質は相互に連携してparanodeの構造の維持に関与することが示唆される。また、興味深いことに、AISにはNavだけでなくKv1も発現しており、Kv1の局在には足場となるD-93が必須であることがわかった。