明治薬科大学薬用植物園
(Medicinal Plant Garden, Meiji Pharmaceutical University)

園長:岡田嘉仁 天然薬物学教室 教授
所在地:〒204-8588 東京都清瀬市野塩2-522-1
Tel:042-495-8904
交通案内:西武池袋線 秋津駅下車 徒歩12分
JR 武蔵野線 新秋津駅下車 徒歩17分
休園日:日曜日、祝祭日、大学休日
開園時間:9:00〜17:00(冬期は16時頃まで)
見学方法:大学正門又は東門の守衛所に薬草園見学の旨申し出てください。予約は不要ですが、団体(10名以上)の場合は予め問い合せが必要となります。

沿革

明治薬科大学は大学院と薬学部からなり、平成18年度(2006年)から薬学部は薬学6年制移行に伴い、6年制の薬学科と4年制の生命創薬科学科を併設し、現在に至ります。平成24年(2012年)に創学110周年を迎えた伝統ある私立薬科大学です。明治薬科大学清瀬キャンパスにある薬用植物園(以下薬草園)では、日本薬局方収載生薬の基原植物をはじめ、多種の植物を展示植栽しています。またキャンパス内には多くの樹木も植栽されており、生薬として重要なオウバクの起源であるキハダやアンズ、ニガキなどの薬木も見られます。
本薬草園は、本学の附属薬用植物園として主に薬学教育と研究目的で、当時の世田谷キャンパスおよび田無キャンパスそれぞれに設置されておりましたが、平成10年(1998年)に、両キャンパスがこの清瀬市に統合移転した際にあらたに造設されました。本園は薬学部のコア科目である生薬学および関連科目や実習の教材植物のための標本園、ならびに研究用栽培区を中核として来ましたが、近年、併せて地域貢献の一環として、薬用植物を地域社会に啓蒙、普及する役割も果たしております。

本園の特徴

薬草園は清瀬キャンパスを正門から入って右手方向にある標本園を中心に主に3つの区画からなり、面積は約920㎡を占めています。正門から薬草園付近は樹木や草花など緑が多いことから「明薬の森」と称され、憩いの場として一般の方にも解放しております。一番広い区画には、主に日本薬局方収載生薬の基原植物や民間薬として使用される薬草などを、また半日陰の区域には多くの山野草類を植栽して、四季折々訪れる多くの見学者の目を楽しませています。わずかな面積ではありますが、砂地にはハマボウフウ、ハマゼリ、イソスミレなどもあります。

ハマボウフウ

コウホネ、サジオモダカなど約20種の水生植物も栽培しています。

コウホネ

薬草園の管轄として、ハーブ園をガーデン風に整備して、ラヴェンダー、ローズマリー、オレガノなど代表的なハーブを二十数種植栽して、学生の目も楽しませています。ハーブ園のベンチでの昼食風景もたまに見られます。

教育

教育における主たる目的は、講義、実習などを通して薬学の歴史の原点を学ぶことと、薬用植物、生薬の基原植物や重要な医薬品の原料としての薬用植物などを直に触れてもらうことです。医薬品のかなりのものが植物に関連しており、例えば植物の有効成分が医薬品化されたり、あるいは漢方方剤のように植物そのものが利用されたりしています。本園では、本学で薬学を志した学生はもちろん、生薬やハーブ類また漢方をはじめ伝統医療について興味を持っている一般の方に対しても、教育と知識の普及に努めております。薬用植物や生薬は日常の生活に密着しており、特に昨今の健康ブームにのって、セルフメディケーションや予防医学の見地から漢方や薬草への関心の高まりが見受けられます。
 本学は薬学6年制移行に伴い、6年制の薬学科では必修の病院及び薬局実習に加え、5年次に独自のカリキュラムに従い最長6ヵ月の特別コース実習を行うことになっています。これは将来の進路を見据え、薬剤師の専門性を高めてスペシャリストを育成するためのプロジェクトです。7つの特別コースのうち「伝統医療薬学コース」では特に、漢方や生薬など伝統医療に強い学生の養成を行うため、薬草園での実習も実施しており、ますます薬草園の重要性が増していくものと考えております。漢方薬に関する教育は今後の薬学教育の中でさらに重要な位置を占めるべきものであり、例えば薬用部位である生薬の標本とそれらの基原植物の理解等が今まで以上に必要となって来ています。さらに医学部教育においても漢方をはじめとする東洋医学の重要性が高まったことから、薬学教育においても漢方医学との密接な連携が強く望まれています。

研究活動

人類と病気との闘いの歴史において、人類は多種多様な植物を利用して来ました。長年の試行錯誤の中で有用なもの、それが今日の生薬と言えるでしょう。しかし、未だもって新たな医薬品が発見されており、また、遺伝子的にも未知の存在が多いと言われています。一方、医薬品開発におけるリード化合物の発見という観点からも、天然の薬用資源としての植物の研究はまだまだ重要かつ魅力的です。
 本園は研究室から独立しているため、薬草園独自の研究は行っておりません。しかしながら、本園と関係の深い天然薬物学教室の研究テーマの一つである正倉院薬物の中の一つのゲンカ(芫花)の起源であるフジモドキ、また生薬学教室の研究テーマの一つである「サボテン科植物からのサポニン成分の探索」など研究室の実験材料の管理栽培など、研究を側面からサポートして来ました。

フジモドキ

また、かつての研究素材であった紫花前胡の基原植物であるノダケをはじめ、いくつかの研究関連材料も栽培しております。

社会活動

日本薬剤師研修センターが推し進めている生涯研修の一つに、日本生薬学会との協力のもと行われている、「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」があります。1年間講習を受け、さらに薬用植物園での実習を行い、試験を受けることが出来るようになっています。本園はその薬用植物観察実習の受入れ薬草園の一つとして協力しています。また、本学の地域貢献の一環として行っている「市民大学講座(旧:漢方やハーブに親しむ会)」の集会にも活用されております。
 本園は、清瀬市が例年4月上旬に取り組んでいる「清瀬カタクリまつり」の散策ルートにもなっています。本学周辺にはカタクリ、ニリンソウが群生しており、貴重な自然とのふれあいが出来る地域となっています。今でも武蔵野の雑木林が残っています。本園は各方面の団体見学者、研修などにも利用されています。なお、昭和56年より、社団法人日本植物園協会(第4部会)に加盟しております。この法人は関連団体との連絡提携を緊密にし、植物園事業の普及発展に寄与することを目的としています。それを踏まえ、今後は一般社会人の生涯教育の場としてのさらなる充実を図る必要があるものと考えられます。教育、研究材料の提供という面もさることながら、最近では、地球規模の環境破壊による植物資源の消失ならびに多くの種が絶滅の危機に晒されています。薬草に限らず貴重な植物の遺伝子資源の保全のためにも今後、植物園として努力していく必要があります。

関連施設

「明薬の森」
正門から入って、ケヤキ並木等の樹木や季節の草花が植栽されている区域は、薬草園、資料館に隣接していて、「明薬の森」として一般の方にも解放しております。
昭和58年(1983 年)、三笠宮崇仁親王殿下が世田谷キャンパスの旧明薬資料館の前で御植樹された「つばき」も、現在、清瀬キャンパスの「明薬の森」に移植されています。

「明薬資料館」
薬草園に隣接した「明薬資料館」は、明治薬科大学創学80周年記念事業の一環として、創立者恩田重信(剛堂)先生の偉業をしのび、かつ本学の歴史を記念保存し、併せて薬学資料を収集展示して薬学教育に貢献する目的で、旧世田谷キャンパスに設立されました(昭和57年11月23日竣工)。当館は清瀬へのキャンパス統合に伴い新設されて、展示内容は生薬学および生物研究室で代々収集されて来た多数の生薬標本を追加して、一層充実しました。収蔵資料の内容は、恩田先生関連資料をはじめ、江戸時代から続いた薬舗に伝わる製薬道具などの薬業資料を集めた「大原薬業資料」および貴重な生薬標本と薬学関連資料等で、現在その一部を展示して一般に公開しています。館内には、常設展示室と研修室が設けられ、所蔵DVDの視聴が可能です。研修室には各種のハーブ見本を揃えております。また、武蔵野の当地へ移転したのを機会に、「武蔵野の薬用植物」と称して、ヤブエンゴサク、サンショウ、イカリソウなど10種の薬草、薬木を簡単な解説を加えてパネルで紹介しています。生薬資料としては、カンゾウ(甘草)やダイオウ(大黄)をはじめ種々のものを、また葛根湯などの漢方処方を構成する生薬もわかりやすく展示しています。イッカク(一角)やサイカク(犀角)、ロクジョウ(鹿茸)、ジャコウ(麝香)等の動物生薬など、ワシントン条約により現在では入手できないものも多く展示されています。中でもジャコウの基原動物である貴重なジャコウジカのはく製は、国内でも展示例が少なく大変貴重なものです。生薬資料のなかには、「ミイラ」、「センザンコウ」、「カイバ」、「ゴウカイ」などを展示しており、特に「ミイラ」は、国立科学博物館主催の「化け物の文化誌」展(2006年11月)、「医は仁術」展(2014年3月~6月)に出展した珍しい生薬資料です。

ミイラ

 薬学資料の中には「ヒポクラテス全集」やディオスコリデスの「ウィーン写本」など世界の薬学、医学の古典や、日本医学書の古典「解体新書」や「蘭学事始め」の復刻版なども展示しております。

 薬草園および資料館は、大学の教育施設のひとつではありますが、地域貢献活動の一環として普段から一般公開(無料)を行っています。明薬祭(学園祭)期間中やオープンキャンパス開催日には、多くの見学者が訪れ賑わいます。
 
 

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